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- 鉱工業生産23年11月-電子部品・デバイスの在庫調整がさらに進展する一方、自動車は大きく下振れる公算
2023年12月28日
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1.11月の生産は3ヵ月ぶりに低下
経済産業省が12月28日に公表した鉱工業指数によると、23年11月の鉱工業生産指数は前月比▲0.9%(10月:同1.3%)と3ヵ月ぶりに低下したが、事前の市場予想(QUICK集計:前月比▲1.6%、当社予想は同▲2.8%)を上回る結果となった。出荷指数は前月比▲1.3%と3ヵ月ぶりの低下、在庫指数は前月比0.1%と2ヵ月連続で上昇した。11月の生産を業種別に見ると、生産用機械は前月比1.6%の上昇となったが、供給制約の緩和を受けて持ち直しが続いている自動車が同▲2.5%の低下となったほか、10月に前月比6.6%の高い伸びとなった反動もあり、電子部品・デバイスが前月比▲0.9%の低下となった。
財別の出荷動向を見ると、設備投資のうち機械投資の一致指標である資本財出荷指数(除く輸送機械)は23年7-9月期の前期比▲4.2%の後、10月が前月比2.6%、11月が同▲4.1%となった。また、建設投資の一致指標である建設財出荷指数は23年7-9月期の前期比▲3.5%の後、10月が前月比1.5%、11月が同0.5%となった。
23年10、11月の平均を7-9月期と比較すると、資本財(除く輸送機械)は▲1.1%低いが、建設財は1.6%高い。GDP統計の設備投資は、23年4-6月期が前期比▲1.3%、7-9月期が同▲0.4%と2四半期連続で減少した。設備投資は、高水準の企業収益を背景に基調としては底堅さを維持していると判断されるが、23年度入り後は生産活動の停滞を反映し、弱い動きとなっている。
消費財出荷指数は23年7-9月期の前期比▲1.9%の後、10月が前月比3.2%、11月が同▲3.9%となった。11月は耐久消費財が前月比1.4%(10月:同▲0.3%)、非耐久消費財が前月比▲2.2%(10月:同2.8%)であった。
GDP統計の民間消費は、23年4-6月期が前期比▲0.6%、7-9月期は同▲0.2%と2四半期連続で減少した。22年度中は高水準の貯蓄を背景に高めの伸びが続いたが、貯蓄率の水準が平常時に近づくもとで、物価高による実質所得減少の影響で23年度入り後は弱めの動きとなっている。
2.電子部品・デバイスの在庫調整が進展する一方、自動車は大きく下振れの公算
製造工業生産予測指数は、23年12月が前月比6.0%、24年1月が同▲7.2%となった。生産計画の修正状況を示す実現率(11月)、予測修正率(12月)はそれぞれ▲2.8%、▲0.1%であった。
生産計画は12月が大幅増産、1月が大幅減産となっているが、12月、1月は稼働日数が少ないことから季節調整値が大きく振れる傾向がある。生産計画は均してみればほぼ横ばい圏と判断される。ただし、輸送機械の予測指数(12月:前月比5.5%、1月:同▲7.8%)には、一部自動車メーカーの不正問題発覚により生産停止となった影響が含まれていない。12月以降の輸送機械の生産は大きく下振れる公算が大きい。
一方、グローバルなITサイクルの調整を受けて、低迷が続いてきた電子部品・デバイスの出荷・在庫バランス(出荷・前年比-在庫・前年比)は9月に11.6%とプラスに転じた後、10月が12.4%、11月が21.2%とプラス幅の拡大が続いている。11月は在庫が前年比▲21.1%(10月:同▲15.7%)と低下幅が拡大する一方、出荷が前年比0.1%(10月:同▲3.4%)と13ヵ月ぶりにプラスに転じた。
鉱工業全体は一進一退が続いているが、これまで生産を下押ししてきた電子部品・デバイスの在庫調整が進展していることは、先行きを見る上で明るい材料と言えるだろう。
生産計画は12月が大幅増産、1月が大幅減産となっているが、12月、1月は稼働日数が少ないことから季節調整値が大きく振れる傾向がある。生産計画は均してみればほぼ横ばい圏と判断される。ただし、輸送機械の予測指数(12月:前月比5.5%、1月:同▲7.8%)には、一部自動車メーカーの不正問題発覚により生産停止となった影響が含まれていない。12月以降の輸送機械の生産は大きく下振れる公算が大きい。
一方、グローバルなITサイクルの調整を受けて、低迷が続いてきた電子部品・デバイスの出荷・在庫バランス(出荷・前年比-在庫・前年比)は9月に11.6%とプラスに転じた後、10月が12.4%、11月が21.2%とプラス幅の拡大が続いている。11月は在庫が前年比▲21.1%(10月:同▲15.7%)と低下幅が拡大する一方、出荷が前年比0.1%(10月:同▲3.4%)と13ヵ月ぶりにプラスに転じた。
鉱工業全体は一進一退が続いているが、これまで生産を下押ししてきた電子部品・デバイスの在庫調整が進展していることは、先行きを見る上で明るい材料と言えるだろう。
23年11月の生産指数を12月の予測指数で先延ばしすると、10-12月期の生産は前期比2.8%の上昇となる。しかし、実際の生産の伸びは計画を下回る傾向があること、不正問題発覚に伴う生産停止により自動車が下振れる公算が大きい考慮すれば、前期比1%程度の伸びにとどまることが見込まれる。海外経済の減速に伴う輸出の低迷が続くことに加え、物価高の影響などから個人消費が弱めの動きとなっていることから、鉱工業生産は当面一進一退の動きが続くことが予想される。
(お願い)本誌記載のデータは各種の情報源から入手・加工したものであり、その正確性と安全性を保証するものではありません。また、本誌は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。
(2023年12月28日「経済・金融フラッシュ」)
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03-3512-1836
経歴
- ・ 1992年:日本生命保険相互会社
・ 1996年:ニッセイ基礎研究所へ
・ 2019年8月より現職
・ 2010年 拓殖大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2012年~ 神奈川大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2018年~ 統計委員会専門委員
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