2023年12月07日

「フェイクグル」に気をつけろ!-SNSに潜むペテン師たち

基礎研REPORT(冊子版)12月号[vol.321]

生活研究部 研究員 廣瀨 涼

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※ 本レポートは2023年10月18日発行の研究員の眼
「フェイクグル」に気をつけろ!-SNSに潜むペテン師たち
を要約したものです。

1―フェイクグルとは

フェイクグルとはFake(偽)とGuru(教祖、権威者、第一人者)から成る造語で、専門知識や資格を持たないのに、自己啓発、個人の成長、ビジネス、またはスピリチュアリティなどの特定の分野における権威や専門家であると自己主張する人を指す用語として使われている。

YouTubeやInstagramでは、人々が憧れるような豪邸に住んだり、高級車を乗り回したり、一晩で何百万ドルも散在するといった所謂セレブなライフスタイルを公開する人々がいるが、視聴者たちは彼らに憧れや尊敬の念を抱いている。その視聴者の憧れに付け込み、「私のノウハウを使えばあなたもセレブの仲間入り」といった謳い文句で誘って、教材を購入させたり、プログラムに入会させるといったビジネスが横行している。彼らが本当に資産家でビジネスに成功していれば、そのようなビジネスも詐欺ではないのかもしれないが、彼らの多くが専門知識や資格を擁さず、プライベートジェットや高級車も撮影用にレンタルし、あたかもお金持ちであるかのように振舞っているフェイクグルと呼ばれる人々なのである。
フェイクグルとは

2―まず答えを求める

不景気故に我々は、お金を使う事に対して消極的になる。一方情報が溢れているため、興味をもって時間を費やしたいと思う対象も膨大だ。そのため日常的に「まず答え」を求め、消費における失敗のリスクや自身で情報を選択する手間を避けようとする。従来の商品購入時の商品の口コミチェックのみならず、「これだけすれば必ず儲かる」「この体操をするだけで美脚になりました」といった手間をかけずに誰かがまとめた2次情報をライフスタイルに取り入れたり、投資や人生設計など将来のビジョンの参考にする。その投稿者が本当にその領域で専門的な知識を擁しているかは関係なく、あくまでも労力を使わず、何かした気になれる方法や、何か知った気になれれば十分なのだ。このような我々の情報処理方法が実態のよくわからない自称「専門家」や「プロ」を増殖させている原因なのかもしれない。

3―SNSにおけるセルフブランディングとフェイクグル

日本のSNSユーザーを見ても、フェイクグルとまでは言わないが、自身の実態と大きくかけ離れた虚構の自分を、SNSで発信している者も多い。例えば「裕福であるというイメージ」を他のSNSユーザーに持ってもらうために、高級車の写真やタワーマンションからの夜景の写真が投稿されているアカウントが横行している。ユーザーによっては高級ブランド品や車などの画像と自分の写真を合成したり、他人の過去の投稿写真を転用するなど、投稿される写真すら偽物というお粗末なユーザーも存在する。なぜ、そこまでして現実(実態)とは違う自分を演じる必要があるのだろうか。

SNSにおいて我々は、そのユーザーの人となりを知るには、そのユーザーが発信する情報を鵜呑みにする必要があり、実態は違っていても、SNS上のイメージは「自身の投稿」で構築できてしまう。

そのため、自身の地位を維持する(取り繕う)ために、それっぽいことを日々SNSで投稿するだけで影響力を増大させ、「何かすごい人」として認められることができてしまうし、高級車を借りたり、友達の高層マンションから夜景を撮影する、といった一回の支出でセルフブランディングに繋げることができるため、取り繕うのに支出が連続性を持たない「一瞬」で済む。誰でもやろうと思えばできてしまうという再現性の高さが、何者か実態はわからないけど他人が羨ましがるようなライフスタイルを送っている人々がSNS上に溢れている背景にあると筆者は考える。

4―さいごに

「答えがすぐわかること」への関心が大きくなると、情報の真偽よりも、如何に速く、如何に簡単に知った気になれるか、という事が情報を選ぶ時の大きな要素となってしまう。しかし、多くの人に拡散されているという事が決して情報の信ぴょう性を保証しているわけではなく、発信者が何者なのか、投稿者本人にとって情報を発信することに何のメリット(アフィリエイト、有料コンテンツ・セミナーへの導入、個人情報取得など)があるのか、しっかり考え、情報に接する必要があるだろう。
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生活研究部   研究員

廣瀨 涼 (ひろせ りょう)

研究・専門分野
消費文化、マーケティング、ブランド論、サブカルチャー、テーマパーク、ノスタルジア

経歴
  • 【経歴】
    2019年 大学院博士課程を経て、
          ニッセイ基礎研究所入社

    【加入団体等】
    ・経済社会学会
    ・コンテンツ文化史学会
    ・余暇ツーリズム学会
    ・コンテンツ教育学会
    ・総合観光学会

(2023年12月07日「基礎研マンスリー」)

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