- シンクタンクならニッセイ基礎研究所 >
- 暮らし >
- 若年層市場・マーケット >
- 「フェイクグル」に気をつけろ!-SNSに潜むペテン師たち
2023年12月07日
文字サイズ
- 小
- 中
- 大
1―フェイクグルとは
フェイクグルとはFake(偽)とGuru(教祖、権威者、第一人者)から成る造語で、専門知識や資格を持たないのに、自己啓発、個人の成長、ビジネス、またはスピリチュアリティなどの特定の分野における権威や専門家であると自己主張する人を指す用語として使われている。
YouTubeやInstagramでは、人々が憧れるような豪邸に住んだり、高級車を乗り回したり、一晩で何百万ドルも散在するといった所謂セレブなライフスタイルを公開する人々がいるが、視聴者たちは彼らに憧れや尊敬の念を抱いている。その視聴者の憧れに付け込み、「私のノウハウを使えばあなたもセレブの仲間入り」といった謳い文句で誘って、教材を購入させたり、プログラムに入会させるといったビジネスが横行している。彼らが本当に資産家でビジネスに成功していれば、そのようなビジネスも詐欺ではないのかもしれないが、彼らの多くが専門知識や資格を擁さず、プライベートジェットや高級車も撮影用にレンタルし、あたかもお金持ちであるかのように振舞っているフェイクグルと呼ばれる人々なのである。
YouTubeやInstagramでは、人々が憧れるような豪邸に住んだり、高級車を乗り回したり、一晩で何百万ドルも散在するといった所謂セレブなライフスタイルを公開する人々がいるが、視聴者たちは彼らに憧れや尊敬の念を抱いている。その視聴者の憧れに付け込み、「私のノウハウを使えばあなたもセレブの仲間入り」といった謳い文句で誘って、教材を購入させたり、プログラムに入会させるといったビジネスが横行している。彼らが本当に資産家でビジネスに成功していれば、そのようなビジネスも詐欺ではないのかもしれないが、彼らの多くが専門知識や資格を擁さず、プライベートジェットや高級車も撮影用にレンタルし、あたかもお金持ちであるかのように振舞っているフェイクグルと呼ばれる人々なのである。
2―まず答えを求める
不景気故に我々は、お金を使う事に対して消極的になる。一方情報が溢れているため、興味をもって時間を費やしたいと思う対象も膨大だ。そのため日常的に「まず答え」を求め、消費における失敗のリスクや自身で情報を選択する手間を避けようとする。従来の商品購入時の商品の口コミチェックのみならず、「これだけすれば必ず儲かる」「この体操をするだけで美脚になりました」といった手間をかけずに誰かがまとめた2次情報をライフスタイルに取り入れたり、投資や人生設計など将来のビジョンの参考にする。その投稿者が本当にその領域で専門的な知識を擁しているかは関係なく、あくまでも労力を使わず、何かした気になれる方法や、何か知った気になれれば十分なのだ。このような我々の情報処理方法が実態のよくわからない自称「専門家」や「プロ」を増殖させている原因なのかもしれない。
3―SNSにおけるセルフブランディングとフェイクグル
日本のSNSユーザーを見ても、フェイクグルとまでは言わないが、自身の実態と大きくかけ離れた虚構の自分を、SNSで発信している者も多い。例えば「裕福であるというイメージ」を他のSNSユーザーに持ってもらうために、高級車の写真やタワーマンションからの夜景の写真が投稿されているアカウントが横行している。ユーザーによっては高級ブランド品や車などの画像と自分の写真を合成したり、他人の過去の投稿写真を転用するなど、投稿される写真すら偽物というお粗末なユーザーも存在する。なぜ、そこまでして現実(実態)とは違う自分を演じる必要があるのだろうか。
SNSにおいて我々は、そのユーザーの人となりを知るには、そのユーザーが発信する情報を鵜呑みにする必要があり、実態は違っていても、SNS上のイメージは「自身の投稿」で構築できてしまう。
そのため、自身の地位を維持する(取り繕う)ために、それっぽいことを日々SNSで投稿するだけで影響力を増大させ、「何かすごい人」として認められることができてしまうし、高級車を借りたり、友達の高層マンションから夜景を撮影する、といった一回の支出でセルフブランディングに繋げることができるため、取り繕うのに支出が連続性を持たない「一瞬」で済む。誰でもやろうと思えばできてしまうという再現性の高さが、何者か実態はわからないけど他人が羨ましがるようなライフスタイルを送っている人々がSNS上に溢れている背景にあると筆者は考える。
SNSにおいて我々は、そのユーザーの人となりを知るには、そのユーザーが発信する情報を鵜呑みにする必要があり、実態は違っていても、SNS上のイメージは「自身の投稿」で構築できてしまう。
そのため、自身の地位を維持する(取り繕う)ために、それっぽいことを日々SNSで投稿するだけで影響力を増大させ、「何かすごい人」として認められることができてしまうし、高級車を借りたり、友達の高層マンションから夜景を撮影する、といった一回の支出でセルフブランディングに繋げることができるため、取り繕うのに支出が連続性を持たない「一瞬」で済む。誰でもやろうと思えばできてしまうという再現性の高さが、何者か実態はわからないけど他人が羨ましがるようなライフスタイルを送っている人々がSNS上に溢れている背景にあると筆者は考える。
4―さいごに
「答えがすぐわかること」への関心が大きくなると、情報の真偽よりも、如何に速く、如何に簡単に知った気になれるか、という事が情報を選ぶ時の大きな要素となってしまう。しかし、多くの人に拡散されているという事が決して情報の信ぴょう性を保証しているわけではなく、発信者が何者なのか、投稿者本人にとって情報を発信することに何のメリット(アフィリエイト、有料コンテンツ・セミナーへの導入、個人情報取得など)があるのか、しっかり考え、情報に接する必要があるだろう。
(2023年12月07日「基礎研マンスリー」)
このレポートの関連カテゴリ

03-3512-1776
経歴
- 【経歴】
2019年 大学院博士課程を経て、
ニッセイ基礎研究所入社
・公益社団法人日本マーケティング協会 第17回マーケティング大賞 選考委員
・令和6年度 東京都生活文化スポーツ局都民安全推進部若年支援課広報関連審査委員
【加入団体等】
・経済社会学会
・コンテンツ文化史学会
・余暇ツーリズム学会
・コンテンツ教育学会
・総合観光学会
廣瀬 涼のレポート
日付 | タイトル | 執筆者 | 媒体 |
---|---|---|---|
2025/02/21 | 2月15日×チョコレート-消費の交差点(8) | 廣瀬 涼 | 研究員の眼 |
2025/02/17 | タイパ時代の「脱タイパ」消費とは-「消費に失敗したくない」Z世代 | 廣瀬 涼 | 基礎研レポート |
2024/12/18 | α世代がやってくる-α世代論をはじめる前に書いたゆるい読み物 | 廣瀬 涼 | 研究員の眼 |
2024/11/08 | あの“同期”はなぜ飲み会に参加しないのか-Z世代のアルコールに対するスタンスについて考える | 廣瀬 涼 | 基礎研マンスリー |
新着記事
-
2025年03月14日
噴火による降灰への対策-雪とはまた違う対応 -
2025年03月14日
ロシアの物価状況(25年2月)-前年比で上昇が続き10%超に -
2025年03月14日
株式インデックス投資において割高・割安は気にするべきか-長期投資における判断基準について考える -
2025年03月13日
インド消費者物価(25年2月)~2月のCPI上昇率は半年ぶりの4%割れ -
2025年03月13日
行き先を探す“核の荷物”~高レベル放射性廃棄物の最終処分とエネルギー政策~
レポート紹介
-
研究領域
-
経済
-
金融・為替
-
資産運用・資産形成
-
年金
-
社会保障制度
-
保険
-
不動産
-
経営・ビジネス
-
暮らし
-
ジェロントロジー(高齢社会総合研究)
-
医療・介護・健康・ヘルスケア
-
政策提言
-
-
注目テーマ・キーワード
-
統計・指標・重要イベント
-
媒体
- アクセスランキング
お知らせ
-
2024年11月27日
News Release
-
2024年07月01日
News Release
-
2024年04月02日
News Release
【「フェイクグル」に気をつけろ!-SNSに潜むペテン師たち】【シンクタンク】ニッセイ基礎研究所は、保険・年金・社会保障、経済・金融・不動産、暮らし・高齢社会、経営・ビジネスなどの各専門領域の研究員を抱え、様々な情報提供を行っています。
「フェイクグル」に気をつけろ!-SNSに潜むペテン師たちのレポート Topへ