2023年10月23日

新築マンション市場の動向(首都圏2023年9月)~様子見はじめた需要者も。供給は東京都心部へ集積が進む

金融研究部 准主任研究員 渡邊 布味子

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■要旨

2023年9月の首都圏新築マンション平均発売価格は上昇傾向と供給戸数の減少傾向は依然として続いている。エリア別では、高値の継続から需要者が様子見をはじめたところもあるようだ。
 
デベロッパーの用地取得額の減少が続いている。背景には建築費の高騰があり、デベロッパーが上昇した建築費の価格への転嫁は難しいと考えるエリアへの投資を控え、全体としてはマンション用地の取得額が減少していると考える。
 
一方、2023年に取引されたマンション用地は東京23区へ集積している。建築費の増加を価格に転嫁しやすい東京都心部へ投資が集中している。
 
首都圏新築マンションの平均発売価格は高値水準での推移が続くと考える。だたしここ数年のマンション市況の活況と東京23区への集積により、同じ駅でも大型のマンション用地や駅至近のマンション用地が少なくなっている。これからは「やや駅距離のある新築マンション」と「やや築年が経過しているが立地のよい中古マンション」のどちらにするかを検討するような時代が来るのではないだろうか。

■目次

・新築マンション価格は高値が続くが、需要者が様子見をはじめたエリアも
・デベロッパーのマンション用地取得額は依然として減少傾向
・マンション用地取得額減少の背景には建築費の高騰
・建築費上昇を価格転嫁できる可能性が高い東京都心部のマンション用地購入が増加
・今後も、東京都心部へのマンション集積は高まる
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金融研究部   准主任研究員

渡邊 布味子 (わたなべ ふみこ)

研究・専門分野
不動産市場、不動産投資

経歴
  • 【職歴】
     2000年 東海銀行(現三菱UFJ銀行)入行
     2006年 総合不動産会社に入社
     2018年5月より現職
    ・不動産鑑定士
    ・宅地建物取引士
    ・不動産証券化協会認定マスター
    ・日本証券アナリスト協会検定会員

    ・2022年、2023年 兵庫県都市計画審議会専門委員

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