2023年09月20日

米住宅着工・許可件数(23年8月)-前月比で着工件数は市場予想を大幅に下回った一方、許可件数は市場予想を大幅に上回った

経済研究部 主任研究員 窪谷 浩

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1.結果の概要:住宅着工は市場予想を下回った一方、許可件数は市場予想を上回る

9月19日、米国センサス局は8月の住宅着工、許可件数を発表した。住宅着工件数(季節調整済、年率)は128.3万件(前月改定値:144.7万件)と145.2万件から小幅下方修正された前月、市場予想の143.9万件(Bloomberg集計の中央値)を大幅に下回った(図表1、図表3)。

着工許可件数(季節調整済、年率)は154.3万件(前月改定値:144.3万件)と144.2万件から小幅上方修正された前月、市場予想の144.0万件を大幅に上回った(図表2、図表5)。
(図表1)住宅着工件数/(図表2)住宅着工許可件数

2.結果の評価:着工件数が大幅に減少する一方、許可件数は戸建て、集合住宅ともに増加

住宅着工件数の伸びは前月比▲11.3%(前月:+2.0%)と前月からマイナスに転じた(図表3)。集合住宅が▲26.3%(前月:▲4.9%)と3ヵ月連続でマイナスとなったほか、大幅にマイナス幅が拡大した(図表4)。また、戸建ても▲4.3%(前月:+5.7%)と前月からマイナスに転じた。

前年同月比は▲14.8%(前月:+5.5%)と前月からマイナスに転じた。内訳をみると、戸建てが+2.4%(前月:+9.5%)と2ヵ月連続でプラスを維持した一方、集合住宅が▲41.6%(前月:▲1.9%)と大幅なマイナスに転じて全体を押し下げた。

地域別寄与度(前月比)は、北東部が+0.1%ポイント(前月:▲0.1%ポイント)と小幅ながら前月からプラスに転じた。一方、中西部が▲0.9%ポイント(前月:+0.4%ポイント)、西部が▲7.9%ポイント(前月:+3.9%ポイント)と前月からマイナスに転じたほか、南部が▲2.6%ポイント(前月:▲2.1%ポイント)と3ヵ月連続でマイナスとなった。
(図表3)住宅着工件数(伸び率)/(図表4)住宅着工件数前月比(寄与度)
先行指標である住宅着工許可件数は、前月比+6.9%(前月:+0.1%)と前月から伸びが加速した(図表5)。集合住宅が+15.8%(前月:▲0.8%)と前月から2桁のプラスに転じたほか、戸建てが+2.0%(前月:+0.6%)と8ヵ月連続のプラスとなった(図表6)。

前年同月比は▲2.7%(前月:▲13.0%)と前月からマイナス幅は縮小したものの、13ヵ月連続のマイナスとなった。戸建てが+7.2%(前月:+1.3%)と2ヵ月連続でプラスを維持した一方、集合住宅が▲15.3%(前月:▲30.7%)と6ヵ月連続のマイナスとなり、全体を押し下げた。
(図表5)住宅着工許可件数(伸び率)/(図表6)住宅着工許可件数前月比(寄与度)
(図表7)住宅市場指数(項目別) 一方、全米建設業協会(NAHB)による戸建て新築住宅販売のセンチメントを示す住宅市場指数は、9月が45(前月:50)と2ヵ月連続で悪化したほか、市場予想(49)も下回った(図表7)。内訳は販売現況が51(前月:57)、販売見込みが49(前月:55)、客足が30(前月:35)といずれも2ヵ月連続で前月から悪化した。

NAHB会長のアリシア・ヒューイ氏は「建設業者の2ヵ月間の低下は、住宅ローン金利が7%を超えて急上昇し、購入者の購買力を著しく浸食した時期と一致している」と述べ、住宅金利の上昇が住宅需要を低下させている可能性を示唆した。
 
 

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経済研究部   主任研究員

窪谷 浩 (くぼたに ひろし)

研究・専門分野
米国経済

経歴
  • 【職歴】
     1991年 日本生命保険相互会社入社
     1999年 NLI International Inc.(米国)
     2004年 ニッセイアセットマネジメント株式会社
     2008年 公益財団法人 国際金融情報センター
     2014年10月より現職

    【加入団体等】
     ・日本証券アナリスト協会 検定会員

(2023年09月20日「経済・金融フラッシュ」)

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