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- 米国経済の見通し-年末から来年にかけて大幅な景気減速も景気後退は回避される見通し
2023年09月11日
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■要旨
- 米国の23年4-6月期の実質GDP成長率(前期比年率)は+2.1%(前期:+2.0%)と4期連続のプラス成長となったほか、前期並みの伸びを維持した。個人消費が+1.7%(前期:+4.2%)と、高い伸びとなった前期からは低下も堅調を維持したことが大きい。個人消費が堅調な要因は雇用増加に加え可処分所得が堅調となったことがある。
- 一方、23年3月上旬のシリコンバレー銀行の破綻をきっかけに広がった金融システム不安では、銀行の融資基準は厳格化されたものの、連鎖的な銀行破綻は回避されており、経済への影響は限定的に留まっている。また、労働市場は減速しているものの、雇用者数の堅調な増加が持続しており、7-9月期の個人消費は再び伸びが加速する可能性が高く、足元で景気後退の兆候はみられない。
- もっとも、これまでの累積的な金融引締めの影響から今後は労働需要の低下に伴う個人消費の減速が見込まれ、米国経済は23年末から24年にかけて大幅な景気減速が予想される。この結果、成長率(前年比)は23年が+2.2%となった後、24年は+1.1%に低下しよう。もっとも、インフレが緩やかに低下する中、FRBが24年に金融緩和に転じることもあって景気後退は回避されよう。
- 金融政策は、FRBが11月に追加利上げを実施し、政策金利を5.75%まで引上げた後、24年後半に利下げを開始しよう。量的引締め政策は当面は現在の政策を維持しよう。
- 上記見通しに対するリスクはインフレ高進による政策金利の上振れが挙げられる。インフレ高進による政策金利の上振れは将来の景気後退リスクを高めよう。
■目次
1.経済概況・見通し
(経済概況)4‐6月期の成長率は4期連続のプラス、前期並みの伸びを維持
(経済見通し)成長率は23年が前年比+2.2%、24年が+1.1%を予想、景気後退は回避
2.実体経済の動向
(労働市場、個人消費)累積的な金融引締めの影響から労働市場、個人消費は減速へ
(設備投資)調達コストの上昇などから23年末から24年初にかけてマイナス成長へ
(住宅投資)足元で減速に歯止めがかかっている可能性
(政府支出、債務残高)財政責任法により、財政赤字は今後10年間で▲1.5兆ドル削減見込み
(貿易)外需の成長率寄与度は足元でマイナスも成長率格差から24年にかけてプラス寄与へ
3.物価・金融政策・長期金利の動向
(物価)住居費、賃金上昇圧力の低下からインフレ率の低下が持続
(金融政策)政策金利は23年末が5.75%、24年末が4.75%を予想
(長期金利)23年10-12月期平均が3.9%、24年10-12月期が同3.5%への低下を予想
1.経済概況・見通し
(経済概況)4‐6月期の成長率は4期連続のプラス、前期並みの伸びを維持
(経済見通し)成長率は23年が前年比+2.2%、24年が+1.1%を予想、景気後退は回避
2.実体経済の動向
(労働市場、個人消費)累積的な金融引締めの影響から労働市場、個人消費は減速へ
(設備投資)調達コストの上昇などから23年末から24年初にかけてマイナス成長へ
(住宅投資)足元で減速に歯止めがかかっている可能性
(政府支出、債務残高)財政責任法により、財政赤字は今後10年間で▲1.5兆ドル削減見込み
(貿易)外需の成長率寄与度は足元でマイナスも成長率格差から24年にかけてプラス寄与へ
3.物価・金融政策・長期金利の動向
(物価)住居費、賃金上昇圧力の低下からインフレ率の低下が持続
(金融政策)政策金利は23年末が5.75%、24年末が4.75%を予想
(長期金利)23年10-12月期平均が3.9%、24年10-12月期が同3.5%への低下を予想
(2023年09月11日「Weekly エコノミスト・レター」)
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経歴
- 【職歴】
1991年 日本生命保険相互会社入社
1999年 NLI International Inc.(米国)
2004年 ニッセイアセットマネジメント株式会社
2008年 公益財団法人 国際金融情報センター
2014年10月より現職
【加入団体等】
・日本証券アナリスト協会 検定会員
窪谷 浩のレポート
日付 | タイトル | 執筆者 | 媒体 |
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