コラム
2023年09月11日

2023年8月投資部門別売買動向~海外投資家は5カ月連続で買い越しも7月と比較して小規模に~

金融研究部 研究員 森下 千鶴

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日経平均株価は、8月1日に3万3,476円まで上昇したものの、日銀のYCCの運用柔軟化と米国債格下げの影響から日米金利の上昇が嫌気され、8月3日に3万2,159円まで下落した。上旬はその後、方向感のない展開が続いたが、中旬に入ると米金融引締め継続懸念や中国景気の先行き不透明感からさらに下落し、8月18日には3万1,450円と3万1,500円を下回った。下旬は、中国人民銀行の追加利下げ発表から市場心理が改善し、8月24日に3万2,287円まで上昇した。8月25日に米金融引き締め政策の長期化懸念から、一旦3万1,624円まで下落したものの、ジャクソンホール会議でのパウエル議長の講演が想定ほどタカ派的ではなかったことから反発した。日経平均株価は月末にかけて値を戻し、3万2,619円で終えた。8月はこのように日経平均株価が推移する中、事業法人、海外投資家が買い越す一方で、個人、信託銀行が売り越した。
図表1 主な投資部門別売買動向と日経平均株価の推移
2023年8月(7月31日~9月1日)の投資部門別の売買動向をみると、事業法人が現物と先物の合計で8,694億円の買い越しと、最大の買い越し部門であった。

特に、8月第3週(8月14日~18日)は3,240億円の買い越しとなった。8月第3週は、米金融引締め政策長期化懸念や中国景気減速懸念を受け、日経平均株価は1,000円を超えて下落しており、自社株買いが買いの中心である事業法人が、自社の株価が割安になったタイミングで積極的に買った可能性がある。2023年4~8月の自社株買い設定金額(TOPIX構成銘柄)は約5兆円と、昨年度の5.6兆円は下回っているものの、過去5年平均の3.9兆円は大幅に上回っている。自社株買いの機運は引き続き高いこともあり、事業法人による買いは今後も継続することが予想される。
図表2 事業法人の買いが増加
海外投資家は、現物と先物の合計で2,964億円の買い越しと、5カ月連続の買い越しも7月と比べて大幅に減少した。週間では、8月第3週(8月14日~18日)は8,355億円の売り越し、8月第5週(8月28日~9月1日)は9,747億円の買い越しと、週によって売買動向が変化した。8月は主に米国金融引締め政策と中国経済に対する見方が注目されており、海外投資家も、外部環境に合わせて売買していた様子である。米著名投資家による日本株推奨等日本独自の材料をきっかけとした4、5月の買いと比較すると、月を通じては買い越しは継続しているものの、外部環境の影響が再び強まっていることが確認できる。
図表3 海外投資家は5カ月連続の買い越し
一方で、個人は、現物と先物の合計で7,468億円の売り越しと、8月最大の売り越し部門であった。週間では、8月第3週(8月14日~18日)は5,321億円買い越すも、8月第5週(8月28日~9月1日)は、1兆1,687億円とそれ以上に売り越した。第3週は日経平均株価の下落幅が、第5週は日経平均株価の上昇幅がそれぞれ1,000円を超えており、個人の「逆張り」投資は健在だったといえよう。
図表4 個人は8月第5週に大幅売り越し
 
 

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森下 千鶴 (もりした ちづる)

研究・専門分野
株式市場・資産運用

(2023年09月11日「研究員の眼」)

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