2023年08月10日

企業物価指数2023年7月 ~輸入物価は下落基調を継続し、国内企業物価指数(前年比)は縮小~

経済研究部 研究員 安田 拓斗

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1. 国内企業物価指数(前年比)は7ヵ月連続で伸びが鈍化

企業物価指数の推移 日本銀行が8月10日に発表した企業物価指数によると、2023年7月の国内企業物価の前年比は3.6%(6月:同4.3%)と7ヵ月連続で伸びが鈍化した。

内訳をみると23類別中、20類別が上昇し、3類別が低下した。非鉄金属は前年比5.8%と前月(同▲0.5%)から伸びを高め、石油・石炭製品は同1.7%(6月:同▲2.5%)とプラスに転じた。一方、電力・都市ガス・水道が前年比▲3.3%(6月:同4.4%)とマイナスに転じたことと、化学製品が同▲3.3%と前月(同▲3.8%)からマイナス幅が低下したものの、引き続きマイナスとなったことが全体を押し下げた。
国内企業物価の前月比は7月に0.1%と3ヵ月ぶりにプラスに転じたが、夏季電力料金引き上げの影響を除くと前月比▲0.1%(6月:同▲0.1%)と3ヵ月連続でマイナスとなった。内訳をみると23類別中、12類別が上昇し、8類別が低下、3類別で横ばいとなった。電力・都市ガス・水道が前月比▲1.9%(6月:同▲5.7)と3ヵ月連続でマイナスとなり、化学製品が同▲0.2%(6月:同▲0.9)と5ヵ月連続のマイナスとなった。一方、石油・石炭製品は前月比2.2%(6月:同2.9%)と2ヵ月連続で2%台の伸びを維持し、非鉄金属が同0.6%(6月:同1.2%)と2ヵ月連続のプラスとなったことが、全体がプラスに転じた主因である。
国内企業物価指数の推移/国内企業物価指数の前月比寄与度分解

2. 輸入物価(契約通貨ベース)は下落基調を継続

輸入物価指数変化率の要因分解(契約通貨ベース) 2023年7月の輸入物価は、契約通貨ベースでは前月比▲0.4%(6月:同▲3.3%)と10ヵ月連続のマイナスとなった。また、2023年7月の円相場(対ドル)は前月比0.0%と横ばいになったことで、円ベースでは前月比▲0.3%(6月:同▲1.4%)と契約通貨ベースとほとんど同じ前月比となった。円ベースの前年比は▲14.1%(6月:▲11.4%)と2ヵ月連続で二桁のマイナスとなった。

契約通貨ベースで輸入物価の内訳をみると、10類別中1類別でプラス、1類別で横ばい、8類別でマイナスとなった。はん用・生産用・業務用機器は前月比0.1%(6月:同▲0.3%)と2ヵ月ぶりにプラスに転じた。一方、化学製品は前月比▲1.3%(6月:同▲1.2%)と2ヵ月連続でマイナスとなったほか、石油・石炭・天然ガスは同▲0.4(6月:同▲8.8%)と10ヵ月連続でマイナスとなった。輸入物価は引き続き前年比では大幅なマイナスとなるが、足もとの原油価格の上昇と円安の進行を受けて、前月比では下げ止まりが予想される。

3. 今後も国内企業物価指数(前年比)は縮小していく

国内企業物価指数の前年比寄与度分解 国内企業物価指数(前年比)は2023年1月から7ヵ月連続で伸びが鈍化しており、2021年4月以来の3%台の伸びとなった。資源高が一服したことで、輸入物価(前年比)は10ヵ月連続マイナスと下落基調にあり、川上段階のインフレ圧力は弱まっている。 川下段階における物価上昇圧力は依然として残っているが、国内企業物価(前年比)の先行きは前年の高い伸びの裏がでることもあり、さらに縮小するだろう。

 
 
 

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経済研究部   研究員

安田 拓斗 (やすだ たくと)

研究・専門分野
日本経済

経歴
  • 【職歴】
     2021年4月  日本生命保険相互会社入社
     2021年11月 ニッセイ基礎研究所へ

(2023年08月10日「経済・金融フラッシュ」)

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