2023年07月21日

消費者物価(全国23年6月)-コアCPIは夏場以降、2%台の伸びが続く見込み

経済研究部 経済調査部長 斎藤 太郎

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1.電気代の値上げがコアCPIを押し上げ

消費者物価指数の推移 総務省が7月21日に公表した消費者物価指数によると、23年6月の消費者物価(全国、生鮮食品を除く総合、以下コアCPI)は前年比3.3%(5月:同3.2%)となり、上昇率は前月から0.1ポイント拡大した。事前の市場予想(QUICK集計:3.3%、当社予想も3.3%)通りの結果であった。

家具・家事用品の伸びが5月の前年比9.6%から同8.6%へと鈍化したが、規制料金の値上げによって電気代の下落率が縮小したことがコアCPIを押し上げた。

生鮮食品及びエネルギーを除く総合(コアコアCPI)は前年比4.2%(5月:同4.3%)、総合は前年比3.3%(5月:同3.2%)であった。
コアCPIの内訳をみると、ガス代(5月:前年比2.0%→6月:同▲1.1%)は1年10ヵ月ぶりに下落に転じたが、電気代(5月:前年比▲17.1%→6月:同▲12.4%)、ガソリン(5月:前年比▲1.7%→6月:同▲1.6%)、灯油(5月:前年比▲2.5%→6月:同▲2.2%)の下落率が縮小したことから、エネルギー価格の下落率は5月の前年比▲8.2%から同▲6.6%へと縮小した。ガソリン、灯油は6月から燃料油価格激変緩和措置の補助が段階的に縮減されていることが価格の押し上げにつながっている。
消費者物価(生鮮食品を除く総合)の要因分解 食料(生鮮食品を除く)は前年比9.2%(5月:同9.2%)となり、上昇率は前月と変らなかった。麺類(同11.8%)、菓子類(同10.8%)、調理食品(同9.9%)など、原材料費の上昇を価格転嫁する動きは続いているが、外食が前年比6.0%(5月:同6.4%)と3ヵ月連続で伸びが鈍化した。

サービスは前年比1.6%(5月:同1.7%)と上昇率が縮小した。外食の伸びが鈍化したほか、全国旅行支援による押し下げ幅拡大から、宿泊料(5月:前年比9.2%→5月:同5.5%)の伸びが鈍化した。なお、全国旅行支援の影響を除いた宿泊料は23年4月の前年比13.1%から5月が同14.3%、6月が同18.6%(いずれも当研究所の試算値)と上昇ペースが加速している。
 
コアCPI上昇率を寄与度分解すると、エネルギーが▲0.58%(5月:▲0.72%)、食料(除く生鮮食品・外食)が1.88%(5月:1.86%)、その他財が1.23%(5月:1.20%)、サービスが0.89%(5月:0.91%)、全国旅行支援が▲0.13%(5月:同▲0.05%)であった。

2.物価上昇品目の割合は8割越えが続く

消費者物価(除く生鮮食品)の「上昇品目数(割合)-下落品目数(割合)」 消費者物価指数の調査対象522品目(生鮮食品を除く)を前年に比べて上昇している品目と下落している品目に分けてみると、6月の上昇品目数は438品目(5月は438品目)、下落品目数は45品目(5月41品目)となり、上昇品目数は前月と変わらなかった。上昇品目数の割合は83.9%(5月は83.9%)、下落品目数の割合は8.6%(5月は7.9%)、「上昇品目割合」-「下落品目割合」は75.3%(5月は76.1%)であった。食料(生鮮食品を除く)については97%とほとんどの品目が上昇している。

3.物価上昇の中心は財からサービスへ

6月の電気代は、規制料金の値上げによって下落率が縮小したが、原油、LNG等の燃料価格の下落を反映し、7月以降は下落率が再び拡大する。コアCPI上昇率は23年夏場には2%台まで鈍化する公算が大きい。

物価高の主因となっていた輸入物価の上昇には歯止めがかかっており、23年6月には前年比▲11.3%の大幅マイナスとなった。このため、今後は原材料コストを価格転嫁する動きが徐々に弱まり、財価格の上昇率は鈍化することが見込まれる。

一方、上昇率の拡大が続いていたサービス価格は伸びが鈍化したが、その一因は全国旅行支援の影響拡大による宿泊料の伸び率低下である。また、外食の伸びは3ヵ月連続で鈍化したが、原材料費の上昇を価格転嫁する動きが一段落したことが主因と考えられ、今後は人件費の上昇を価格転嫁する動きが広がることが予想される。物価上昇の中心は、これまでの財からサービスへ徐々にシフトしていく公算が大きい。

現時点では、電気・都市ガス料金の補助金が10月に半減された上で継続することを前提として、コアCPIは23年末まで2%台の伸びが続くと予想している。
 
 

(お願い)本誌記載のデータは各種の情報源から入手・加工したものであり、その正確性と安全性を保証するものではありません。また、本誌は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。

(2023年07月21日「経済・金融フラッシュ」)

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経済研究部   経済調査部長

斎藤 太郎 (さいとう たろう)

研究・専門分野
日本経済、雇用

経歴
  • ・ 1992年:日本生命保険相互会社
    ・ 1996年:ニッセイ基礎研究所へ
    ・ 2019年8月より現職

    ・ 2010年 拓殖大学非常勤講師(日本経済論)
    ・ 2012年~ 神奈川大学非常勤講師(日本経済論)
    ・ 2018年~ 統計委員会専門委員

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