2023年07月31日

鉱工業生産23年6月-4-6月期は3四半期ぶりの増産だが、前期の落ち込みは取り戻せず

経済研究部 経済調査部長 斎藤 太郎

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1.4-6月期は3四半期ぶりの増産

経済産業省が7月31日に公表した鉱工業指数によると、23年6月の鉱工業生産指数は前月比2.0%(5月:同▲2.2%)と2ヵ月ぶりに上昇したが、事前の市場予想(QUICK集計:前月比2.4%、当社予想も同2.4%)を若干下回る結果となった。出荷指数は前月比1.5%と3ヵ月ぶりの上昇、在庫指数は前月比▲1.4%と4ヵ月ぶりの低下なった。

6月の生産を業種別に見ると、石油・石炭が前月比▲5.3%と2ヵ月連続で低下したが、自動車(同6.1%)、電子部品・デバイス(同6.8%)が高い伸びとなったことが全体を押し上げた。

23年4-6月期の生産は前期比1.3%(1-3月期:同▲1.8%)と3四半期ぶりの増産となったが、前期の落ち込みを取り戻すには至らなかった。業種別には、供給制約の緩和を受けて自動車が前期比5.9%と1-3月期の同4.7%に続き高い伸びとなったほか、自動車産業との関連が深い鉄鋼(同1.9%)、非鉄金属(同2.1%)も堅調な動きとなった。また、グローバルなITサイクルの調整を反映し、低迷が続いていた電子部品・デバイスが前期比2.8%(1-3月期:同▲6.0%)と5四半期ぶりの上昇となった。一方、化学(除く医薬品)は前期比▲1.5%と8四半期連続の減産となった。
鉱工業生産・出荷・在庫指数の推移/鉱工業生産の業種別寄与度
財別の出荷動向を見ると、設備投資のうち機械投資の一致指標である資本財出荷指数(除く輸送機械)は23年1-3月期の前期比▲6.5%の後、4-6月は同3.7%と3四半期ぶりに上昇した。一方、建設投資の一致指標である建設財出荷指数は23年1-3月期の前期比▲1.2%の後、4-6月期は同▲1.1%と4四半期連続で低下した。

GDP統計の設備投資は、22年10-12月期に前期比▲0.6%と3四半期ぶりに減少した後、23年1-3月期は同1.4%となった。高水準の企業収益を背景に、設備投資は回復が続いていると判断される。
財別の出荷動向 消費財出荷指数は23年1-3月期の前期比0.8%の後、4-6月期は同3.3%と7四半期連続で上昇した。耐久消費財が前期比8.0%(1-3月期:同5.2%)、非耐久消費財が同▲2.4%(1-3月期:同0.1%)となった。

23年1-3月期のGDP統計の民間消費は、前期比0.5%と22年10-12月期の同0.2%から伸びを高めた。4-6月期は、新型コロナウイルス感染症の5類への移行を受けて、サービス消費の回復がより明確となる一方、物価高の影響で食料、被服などの非耐久財を中心に財消費はやや弱めの動きになったとみられる。

2.電子部品・デバイスの在庫調整が進展

製造工業生産予測指数は、23年7月が前月比▲0.2%、8月が同1.1%となった。生産計画の修正状況を示す実現率(6月)、予測修正率(7月)はそれぞれ▲1.5%、▲1.0%であった。

予測指数を業種別にみると、好調が続く輸送機械は7月が前月比3.5%、8月が同▲3.7%とほぼ横ばいの計画となっている。一方、低迷が続いていた電子部品・デバイスは7月が前月比8.0%の大幅増産計画(8月は同▲0.9%)となっていることに加え、6月の実現率が4.7%、7月の予測修正率が7.1%とこれまでとは逆に生産計画が大きく上振れている。
電子部品・デバイスの出荷・在庫バランス 電子部品・デバイスの出荷・在庫バランス(出荷・前年比-在庫・前年比)は23年2月の▲33.8%から6月には同▲4.7%までマイナス幅が縮小した。これまで生産の押し下げ要因となってきた電子部品・デバイスの在庫調整が進展していることは、先行きの生産を見る上で明るい材料と言えるだろう。
 
23年4-6月期は3四半期ぶりの増産となったが、7、8月の予測指数は、実際の生産が下振れる傾向があることを考慮すれば、やや弱い。先行きの生産は、個人消費を中心とした国内需要の底堅さを背景に持ち直しの動きが続くことが見込まれるものの、海外経済の減速に伴う輸出の伸び悩みが続くことから、そのペースは緩やかなものにとどまる可能性が高い。
 
 

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(2023年07月31日「経済・金融フラッシュ」)

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経済研究部   経済調査部長

斎藤 太郎 (さいとう たろう)

研究・専門分野
日本経済、雇用

経歴
  • ・ 1992年:日本生命保険相互会社
    ・ 1996年:ニッセイ基礎研究所へ
    ・ 2019年8月より現職

    ・ 2010年 拓殖大学非常勤講師(日本経済論)
    ・ 2012年~ 神奈川大学非常勤講師(日本経済論)
    ・ 2018年~ 統計委員会専門委員

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