2023年08月02日

ユーロ圏失業率(2023年6月)-失業率は6.4%の低水準で横ばい

経済研究部 主任研究員 高山 武士

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1.結果の概要:失業率は6.4%で横ばい

8月1日、欧州委員会統計局(Eurostat)はユーロ圏の失業率を公表し、結果は以下の通りとなった。
 

【ユーロ圏失業率(20か国、2023年6月、季節調整値)】
失業率は6.4%、市場予想1(6.5%)を下回り、前月(6.4%)から横ばいだった(図表1)
失業者は1081.4万人となり、前月(1087.6万人)から6.2万人減少した

(図表1)失業率と国別失業者数/(図表2)若年失業率(25才未満)と国別若年失業者数
 
1 bloomberg集計の中央値。以下の予想値も同様。

2.結果の詳細:若年失業率は最低値を更新

ユーロ圏(20か国)の6月の失業率は6.4%で、4月(6.4%)以降は統計データ公表以来の最低値で推移している。なお、過去データは3月以降の数値がやや改善方向に修正された(5月改定前6.5%→改定後6.4%、4月6.5%→6.4%、3月6.6%→6.5%)。

失業者数は6月の前月差で6.2万人減となり、22年2月以降5か月連続で減少した(図表3・4)。主要4か国では、イタリア(▲4.4万人)とスペイン(▲4.6万人)では失業者が減少、ドイツ(+0.2万人)とフランス(+0.3万人)では増加した。ただし、ドイツやフランスでも増加幅は限定的だった。

6月の若年失業率は13.8%で、5月(14.0%)から低下し、コロナ禍後の最低値を更新した(図表2)。なお若年失業率の過去データは5月分がやや悪化方向に修正された(13.9%→14.0%)。

若年失業者数は6月で220.4万人(前月差▲3.1万人)となり、5月(前月差+2.2万人)から減少に転じた。若年失業者数はコロナ禍後の最低値(216.1万人、22年2月)を上回る状況ではあるが、コロナショック直前の水準は下回っている(図表4)。
(図表3)ユーロ圏(20か国)の累積失業者数変化/(図表4)ユーロ圏(20か国)の累積失業者数変化
国別の6月のデータを見ると、失業率はデータが公表されている20か国中、悪化した国が5か国、改善が6か国、横ばいが9か国だった(図表5)。また、若年失業率は悪化した国が5か国、改善が9か国、横ばいが6か国だった(図表6)。
(図表5)ユーロ圏の失業率(国別)/(図表6)ユーロ圏の若年失業率(国別)
最後に詳細な月次データを公表しているイタリアとポルトガルについて確認すると、イタリアは失業者と非労働力人口が減少、就業者が増加した。労働参加率の緩やかに上昇傾向も続いている(図表7)。ポルトガルも失業者が減少し、非労働人口は横ばいで就業者が増加した。非労働力人口も高い水準で推移している(図表8)。
(図表7)イタリアの失業者・非労働力人口・労働参加率/(図表8)ポルトガルの失業者・非労働力人口・労働参加率
 
 

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経済研究部   主任研究員

高山 武士 (たかやま たけし)

研究・専門分野
欧州経済、世界経済

経歴
  • 【職歴】
     2002年 東京工業大学入学(理学部)
     2006年 日本生命保険相互会社入社(資金証券部)
     2009年 日本経済研究センターへ派遣
     2010年 米国カンファレンスボードへ派遣
     2011年 ニッセイ基礎研究所(アジア・新興国経済担当)
     2014年 同、米国経済担当
     2014年 日本生命保険相互会社(証券管理部)
     2020年 ニッセイ基礎研究所
     2023年より現職

    【加入団体等】
     ・日本証券アナリスト協会 検定会員

(2023年08月02日「経済・金融フラッシュ」)

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