2023年07月07日

平均寿命と長生きの年数-生命表をもとに長生きの年数について考えてみよう

基礎研REPORT(冊子版)7月号[vol.316]

保険研究部 主席研究員 兼 気候変動リサーチセンター チーフ気候変動アナリスト 兼 ヘルスケアリサーチセンター 主席研究員 篠原 拓也

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日本の平均寿命は年々伸びている。「令和3年簡易生命表」(厚生労働省)によれば、平均寿命は男性81.47年、女性87.57年だ。今回は、この生命表をもとに長生きの年数について考えてみたい。

平均寿命ではなく平均余命で見る

平均寿命とは生まれたばかりの人が、平均的に何年生きるかを示すものだ。それ以外の人には、「平均余命(よめい)」が用いられる。平均余命は、ある年齢の人々が、平均的に何年生きるかを示す。

例えば、生命表によると、40歳の人の平均余命は男性42.40年、女性48.24年だ。平均寿命から年齢(40歳)を差し引いた年数(男性41.47年、女性47.57年)と比べて男性で0.93年、女性で0.67年長い。つまり40歳では半年以上長い。いま40歳の人は、同時に生まれて40年間に亡くなった人を除いた集団と言える。このため平均余命は「平均寿命-年齢」よりも長い。その差は高齢ほど大きい。
[図表1]平均余命と「平均寿命-年齢」の差

40歳の半数は平均余命より2年は長生き

平均余命が42.40年と聞くと、半数が42.40年生きると考えてしまいがちだ。だが、40歳の集団が半減する年数は、約44.6 年で平均余命よりも2年以上長い。

平均余命は、「各年齢での生存者数」の図で、棒グラフの面積と四角形の面積が等しくなる年数。一方、40歳の人が半減するのは「各年齢での死亡者数」の図で棒グラフの面積が左右で等しい年数だ。

死亡者数のピークは、男性は80代後半、女性は90代前半。ピーク前は年齢が進むにつれて緩やかに死亡者数が増加するが、ピーク後は急減少する。このため、平均余命や生存者が半減する年数はピーク前に前倒しされる。40歳では、平均余命のほうが2年以上大きな前倒しとなる。
[図表2]各年齢での生存者数(男性)
[図表3]各年齢での死亡者数(男性)
[図表4]各年齢での生存者数(女性)
[図表5]各年齢での死亡者数(女性)

平均余命の伸びは低下しているが…

平均余命は、平均寿命と同様、年々伸びている。65歳の平均余命は、2021年に男性19.85年、女性24.73年。25年前の1996年には男性16.94年、女性21.53年だった。25年間で、男性、女性とも約3年伸びた。さらに50年前の1971年には男性13.08年、女性16.00年だった。1971~1996年の25年間には、男性は約4年、女性は5年以上も伸びていた。平均余命の伸びは低下していることになる。

この平均余命の伸びが1996~2021年の半分に低下すると仮定した場合、2021年に40歳の人が65歳になる2046年の時点で、65歳の平均余命は2021年に比べて1年半くらい伸びるとみられる。

40歳の半数は平均寿命より4年は長生き

以上、平均寿命ではなく平均余命で見ることにより、生存期間は半年以上伸びる。半数の人が生存する年数は、平均余命より2年以上長い。平均余命自体が25年間で1年半ぐらい伸びるとみられる。合わせると、40歳の半数は、平均寿命より4年以上長生きすると考えられる。

もちろん、大病を患ったり、事故に遭ったりして、不幸にして早世する可能性もあるが、人々の集団で考えれば、半数の人は平均寿命よりも数年は長生きする。

あとは、健康に長生きできるかどうか。そのためには、バランスの取れた食事、質の良い睡眠、適度な運動など、日ごろから摂生に努めることが大切、と言えそうだ。
[図表6]平均余命と、生存者が半減する年数の差
[図表7]65歳の平均余命との伸び

(2023年07月07日「基礎研マンスリー」)

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保険研究部   主席研究員 兼 気候変動リサーチセンター チーフ気候変動アナリスト 兼 ヘルスケアリサーチセンター 主席研究員

篠原 拓也 (しのはら たくや)

研究・専門分野
保険商品・計理、共済計理人・コンサルティング業務

経歴
  • 【職歴】
     1992年 日本生命保険相互会社入社
     2014年 ニッセイ基礎研究所へ

    【加入団体等】
     ・日本アクチュアリー会 正会員

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