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アジアの消費者は、退職後の健康年齢は2年しかないと予想-高騰する医療費が最大のストレス、高い保険加入意欲
保険研究部 上席研究員 兼 気候変動リサーチセンター 気候変動調査部長 有村 寛
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1―はじめに
上記の他、同調査には回答者の保険加入状況や、今後の加入の意向等も含まれている。ここでは、今回のマニュライフの調査結果の概要について、紹介したい。
1 マニュライフによる今回の調査は、中国、香港、インドネシア、マレーシア、フィリピン、シンガポール、ベトナムの7つの市場において、25~60歳7,224人を対象に2022年12月から2023年1月にかけてオンライン経由で行った。なお、2022年1月19日に公表した前回調査では、日本も調査対象に入っていた。前回調査の概要については、小著「アジア消費者、新型コロナウイルスより家計・健康を懸念」『保険・年金フォーカス』(2022年2月18日)でも紹介している。
2―アジアの人々の健康不安
アジアの人々は病気に対しても恐怖心を抱いており、その4大関心事は、がん(48%)、心臓病(43%)、脳卒中(38%)、糖尿病(35%)となっている(図表1)。これらの数値は、前回調査と比較するとそれぞれ10%前後高まっており、新型コロナウイルスの状況が落ち着く中で、相対的にそれらへの懸念が高まったものと考えらえる。これらの他、認知症やアルツハイマー病などの加齢に伴う病気も20%の回答者が不安を抱いている。
2 マニュライフによれば、退職年齢と健康年齢についての人々の回答は比較的一致していたが、シンガポールとインドネシアだけは他と大きく異なっており、シンガポールでは62歳で定年を迎える1年前から健康状態が悪くなると予想、インドネシアでは58歳で定年を迎えた後、5年間は健康な状態が続くと予想されている、というものであった。
3―健康の維持・推進のための取り組み
健康管理に役立つモバイルアプリの需要は非常に高く(86%)、中でも運動(52%)、睡眠(38%)、ダイエット(35%)の3つが最も人気がある4。
また、健康診断(45%)、早期診断サービス(31%)、専門家のアドバイスを受ける(29%)、定期的なオンライン健康相談(23%)もよく利用されている。
3 メンタルヘルスへの懸念が広がっていることについては、前回調査で大きく取り上げられており、回答者の約3分の2が、何らかのメンタルヘルス懸念を抱えている、とのことであった。
4 前回調査においても、健康管理のモバイルアプリは人気があり、回答者の89%が、健康モニタリングするアプリを使用しているもしくは使用できる状態になっている、と回答している。
4―アジアの人々の資金準備について
また、アジアの人々は資金準備の目標額の達成について楽観的である。調査回答者の多く(70%)は目標額の達成に自信を持っており、目標額が達成できないと思っている人はわずか14%だった6。
回答者の平均年齢は41歳であったが、比較的短期間で退職時の目標金額を達成できることを期待しており、3分の1は5年以内に、26%が今後5年から10年の間に達成すると予想している。
5 特にシンガポールでは、老後のための貯蓄が高かった(63%)。
6 一方、香港(57%)とシンガポール(52%)の回答者は、その他の市場と比べて、目標額の達成に自信がある人の割合が少なかった。
5―保険加入に関する状況、今後の意向
7 医療関係の保険については、今回前回調査とも、入院とそれ以外で分かれており、入院は「hospitalization」もしくは「hospitalisation」とされている一方で、入院以外について、今回調査では「Out-patient health」、前回調査では「health」と記載されている。入院以外について、ここではまとめて「医療」としている。
6―おわりに
前述のとおり、前3回の調査と異なり、今回はコロナについての記載がなく、様変わりした印象があるが、懸念する病気や加入ニーズの高い保険等、前回から継続してのヒアリング項目においては、状況の変化も見られ、ポストコロナを感じさせるものとなった。
特に、前回より保険加入意欲が高まっている点は非常に興味深い。経済発展に伴い、成長著しいアジアの保険市場の動きについては、引き続き、注視していきたい。
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03-3512-1822
- 【職歴】
1989年 日本生命入社
1990年 ニッセイ基礎研究所 総合研究部
1995年以降、日本生命にて商品開発部、法人営業企画部(商品開発担当)、米国日本生命(出向)、企業保険数理室、ジャパン・アフィニティ・マーケティング(出向)、企業年金G等を経て、2021年 ニッセイ基礎研究所へ、2023年7月より現職
(2023年06月26日「保険・年金フォーカス」)
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