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- Z世代の消費を読み解く5つのキーワード
2023年06月07日
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※ 本レポートは2023年04月17日発行の研究員の眼「Z世代の消費を読み解く5つのキーワード」を要約したものです。
1―顧客イメージを創造することが困難に
Z世代は1996年から2012年の17年の間に生まれた若者を指しており、社会や消費市場の観点からも、環境変化の大きさを十分に感じさせる歳月である。併せて現代消費の潮流が、大衆消費の側面と個々の嗜好の追求の側面を擁している点や、社会の多様化が進むに伴ってステレオタイプによって構築されたイメージ先行で消費を行う層をマーケターが想定すること自体も時代錯誤になりつつあり、筆者は「Z世代にはこのような特徴がある」といった顧客イメージを作ることは不可能であると考える。一方で、筆者はZ世代がそれ以前の世代と比較した際にどのような価値観の違いを擁しているのかを論じるアプローチで、Z世代の消費に対する価値観を展望できると考えており以下は、過去に筆者がレポートで論じてきたZ世代の消費行動や消費に関する価値観を基に見出したZ世代の消費文化を検討する上でのキーワードである。
2―Z世代の消費を読み解く5つのキーワード
まず、①「自己欲求の充足のための消費は惜しまないが、それ以外の消費では賢く消費を抑える」である。日々の「ご褒美」としての位置づけのある消費や、推し活のような自身の精神的充足のための消費には積極的に支出するが、自身の価値や消費の意味を見出すことができない対象への消費は抑える傾向がある。Z世代が歩むVUCAの時代は不確実な時代であり、みんなが幸せとしてきたものが、幸せではないと感じる者も多く、その価値観は消費にも表れ始めている。消費によって描けた幸せのビジョンが希薄化しているからこそ、旧来の成功のイメージを体現していた持家、家庭、車、レジャーなどの消費においても理由や根拠を必要としているともいえるだろう。それ以前の世代が「若者の○○離れ」と、若者の消費に対する消極性を問題視することがあるが、極論どれもタダでもらえるのならば拒む人などそれほどいないだろう。だとすると、そのモノやサービス自体が拒まれているわけではなく、自身の生活や収入などを考慮したうえで「必要ない」「購入する事が出来ない」と判断して消費行動に移されていないだけに過ぎず、そこで抑えられた支出は自身にとってよりプライオリティの高いモノへと回せるわけだ。
次に②「消費行動の前に、自身が消費(所有)することの意義を予め吟味する」である。長期的な経済の低迷が続き、支出できる元手に限度がある一方で、SNSの普及が情報の過剰供給をもたらし、消費をしたいと思う対象が増えたため、消費欲求一つ一つを満たす必要があるか検討することになる。市場においてもフリーミアムやサブスクリプションなど所有しなくともニーズを満たす手段が存在する。また、誰もが消費結果をネットに投稿することが消費文化として定着したことで、世の中には同じような消費結果が溢れており、わざわざ自分でそれを消費する必要があるか検討する消費行動が定着している。どの商品やサービスにおいてもまず他人の消費結果を検討するからこそ「ググるよりタグル」という消費文化が定着した。
併せて、欲求を満たしたくとも全ての欲求は満たすことができないと理解しているからこそ、実際に支出したコストに対して高い効用を求めている。これは、消費することへのリスクヘッジに対する意識が高く、③「消費に失敗したくない」という価値観を擁していると言える。
また、従来は所有によるモノの豊富さやブランドが発信するメッセージによる他人に対する優越感や帰属意識など、消費はステータスとしての機能が期待されていた。しかし、Z世代においては、購買するまでの過程や背景などを他人に承認してもらう事も自己肯定感の向上の要因となる。だからこそ④「消費結果によって生まれる他人との関係的価値が自身の自己肯定感向上に繋がる」わけだ。
最後に⑤「消費や嗜好サイクルが加速化・多様化するなかでコストや時間をかけずに自身のニーズを満たしたい」だが、情報が多いことで興味を抱くコトやモノも以前とは比較にならないほど多く、世の中のブームや自身の興味が移り変わるスピードが速いからこそ、それを満たすうえで一つ一つの欲求に対して時間やお金を極力かけずに、手っ取り早くその欲求を解消したいわけだ。昨今のタイパ重視のコンテンツ消費や、フリーミアムを活用し、それなりのサービスで満足しようとする消費行動からもこのような価値観を垣間見ることができる。
次に②「消費行動の前に、自身が消費(所有)することの意義を予め吟味する」である。長期的な経済の低迷が続き、支出できる元手に限度がある一方で、SNSの普及が情報の過剰供給をもたらし、消費をしたいと思う対象が増えたため、消費欲求一つ一つを満たす必要があるか検討することになる。市場においてもフリーミアムやサブスクリプションなど所有しなくともニーズを満たす手段が存在する。また、誰もが消費結果をネットに投稿することが消費文化として定着したことで、世の中には同じような消費結果が溢れており、わざわざ自分でそれを消費する必要があるか検討する消費行動が定着している。どの商品やサービスにおいてもまず他人の消費結果を検討するからこそ「ググるよりタグル」という消費文化が定着した。
併せて、欲求を満たしたくとも全ての欲求は満たすことができないと理解しているからこそ、実際に支出したコストに対して高い効用を求めている。これは、消費することへのリスクヘッジに対する意識が高く、③「消費に失敗したくない」という価値観を擁していると言える。
また、従来は所有によるモノの豊富さやブランドが発信するメッセージによる他人に対する優越感や帰属意識など、消費はステータスとしての機能が期待されていた。しかし、Z世代においては、購買するまでの過程や背景などを他人に承認してもらう事も自己肯定感の向上の要因となる。だからこそ④「消費結果によって生まれる他人との関係的価値が自身の自己肯定感向上に繋がる」わけだ。
最後に⑤「消費や嗜好サイクルが加速化・多様化するなかでコストや時間をかけずに自身のニーズを満たしたい」だが、情報が多いことで興味を抱くコトやモノも以前とは比較にならないほど多く、世の中のブームや自身の興味が移り変わるスピードが速いからこそ、それを満たすうえで一つ一つの欲求に対して時間やお金を極力かけずに、手っ取り早くその欲求を解消したいわけだ。昨今のタイパ重視のコンテンツ消費や、フリーミアムを活用し、それなりのサービスで満足しようとする消費行動からもこのような価値観を垣間見ることができる。
(2023年06月07日「基礎研マンスリー」)

03-3512-1776
経歴
- 【経歴】
2019年 大学院博士課程を経て、
ニッセイ基礎研究所入社
・公益社団法人日本マーケティング協会 第17回マーケティング大賞 選考委員
・令和6年度 東京都生活文化スポーツ局都民安全推進部若年支援課広報関連審査委員
【加入団体等】
・経済社会学会
・コンテンツ文化史学会
・余暇ツーリズム学会
・コンテンツ教育学会
・総合観光学会
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