- シンクタンクならニッセイ基礎研究所 >
- 資産運用・資産形成 >
- 資産運用 >
- 確定拠出年金やNISAでは何に投資したら良いのか【2023年3月版】-国内債券型、国内株式型、外国株式型等でパフォーマンスを比較してみた
確定拠出年金やNISAでは何に投資したら良いのか【2023年3月版】-国内債券型、国内株式型、外国株式型等でパフォーマンスを比較してみた

金融研究部 熊 紫云
文字サイズ
- 小
- 中
- 大
4――若い人は短期的な値動きをあまり気にせず、積極的にリターンが高い資産に投資すべきである
前述した通り、長期投資ではリターンは複利効果で累積的に大きくなっていくが、年率リターンは一定値に収束していく傾向がある。
過去のデータからも、投資期間が一番長い日本バブル崩壊直前から、金融商品ごとの2021年末までと2023年3月末までの年率リターンは、長期間の投資に、たった15か月のデータが加わるだけなので、ほぼ変わらなかった(図表4)。
一方、金融商品の年率リターンの差がたとえ数パーセントでも、投資期間が長くなれば最終積立金額はかなりの差となってしまう。各金融商品の年率リターンを比較すると、外国株式型が9%、国内債券型が2%と、年率リターンの差が7%とそれほど差がないと思うかもしれない。しかし、最終積立金額を見ると、外国株式型と国内債券型の最終積立金額に3,838万円もの差が生じている(図表7)。
従って、長期積立投資等で長期保有のメリットを十分享受できる残りの投資期間が長い若い人は、短期的なリターンの変動であるリスクに対して不安に思うかもしれないが、さほど怖がる必要性は小さい。短期的なリスクを恐れず、積極的に高いリターンが期待できる金融商品を選択する方が得策であると思う。
3 投資期間が短くなる場合の投資行動については基礎研レポート「老後のための2,000万円をどうやって確保するか」(https://www.nli-research.co.jp/report/detail/id=72144?site=nli)をご参照ください
5――結論
但し、株式インデックスに長期間に亘って積立投資する場合も注意すべき点はある。株価暴落とかのニュースが流れて、資産残高が大きく下落しても、慌てて元本確保型などに入れ替え、損失を確定すべきではないということである。そのまま外国株式型などの積立投資を継続し、気長に株価の回復を待つことが大切であると思う。
もちろん、年齢が上がり、資産を取崩さなければならない時期までの残りの投資期間が短い場合は、株価が暴落した場合などに株価が回復するまで待てなくなる可能性が高くなる。このように、残りの投資期間が短くなると、短期的なリスクを抑える重要性が増えるので、リスクが高い金融商品を少しずつ、もしくは一部や全額を一括でバランス型や元本確保型に移行するなど、リスクの低いポートフォリオに移行した方が良い。
なお、最適なポートフォリオは投資期間が異なっても同じ、リスクの時間分散効果はないので投資期間が長くても株式等のリスクの高い資産の割合を大きくすべきではないという考え方もある。しかし、今回紹介している金融危機直前からの積立投資における過去の実績を見ると、たまたま結果がそうなっているだけという可能性はあるものの、個人の長期の資産形成においては、投資期間が長い場合、短期的なリスクが高くても、長期的に高いリターンが期待できる外国株式インデックスなどに積立投資した方が良いように思える。
自分の現在の収入および将来の収入見込み、年齢、健康状態、その他の財産状況等を踏まえて、現在の確定拠出年金やNISA等の資産配分状況を確認して、適切な資産配分かどうかを確認することをお勧めしたい。投資はあくまで自己責任だが、今回のレポートの内容が多少なりともお役に立てば幸いである。
(お願い)本誌記載のデータは各種の情報源から入手・加工したものであり、その正確性と安全性を保証するものではありません。また、本誌は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。
(2023年04月28日「基礎研レポート」)
このレポートの関連カテゴリ
金融研究部
熊 紫云
熊 紫云のレポート
日付 | タイトル | 執筆者 | 媒体 |
---|---|---|---|
2025/03/18 | 長期投資の対象、何が良いのか-S&P500、ナスダック100、先進国株式型で良かった | 熊 紫云 | 基礎研レター |
2025/03/14 | 株式インデックス投資において割高・割安は気にするべきか-長期投資における判断基準について考える | 熊 紫云 | 基礎研レポート |
2025/01/22 | 日本の株式インデックスは長期投資に向いているのか~なぜ海外の主要な株式インデックスは上昇してきたのか | 熊 紫云 | 基礎研レポート |
2024/11/26 | 新NISA、積立投資と一括投資、どっちにしたら良いのか~なぜ米国株式型が強かったのか~ | 熊 紫云 | ニッセイ景況アンケート |
新着記事
-
2025年07月04日
金融安定性に関するレポート(欧州)-EIOPAの定期報告書の公表 -
2025年07月04日
「持ち家か、賃貸か」。法的視点から「住まい」を考える(1)~持ち家を購入することは、「所有権」を得ること -
2025年07月04日
米雇用統計(25年6月)-非農業部門雇用者数が市場予想を上回ったほか、失業率が上昇予想に反して低下 -
2025年07月03日
ユーロ圏失業率(2025年5月)-失業率はやや上昇したが、依然低位安定 -
2025年07月03日
IAIGsの指定の公表に関する最近の状況(14)-19の国・地域からの60社全てのIAIGsのグループ名が公開された-
レポート紹介
-
研究領域
-
経済
-
金融・為替
-
資産運用・資産形成
-
年金
-
社会保障制度
-
保険
-
不動産
-
経営・ビジネス
-
暮らし
-
ジェロントロジー(高齢社会総合研究)
-
医療・介護・健康・ヘルスケア
-
政策提言
-
-
注目テーマ・キーワード
-
統計・指標・重要イベント
-
媒体
- アクセスランキング
お知らせ
-
2025年07月01日
News Release
-
2025年06月06日
News Release
-
2025年04月02日
News Release
【確定拠出年金やNISAでは何に投資したら良いのか【2023年3月版】-国内債券型、国内株式型、外国株式型等でパフォーマンスを比較してみた】【シンクタンク】ニッセイ基礎研究所は、保険・年金・社会保障、経済・金融・不動産、暮らし・高齢社会、経営・ビジネスなどの各専門領域の研究員を抱え、様々な情報提供を行っています。
確定拠出年金やNISAでは何に投資したら良いのか【2023年3月版】-国内債券型、国内株式型、外国株式型等でパフォーマンスを比較してみたのレポート Topへ