コラム
2023年04月28日

分数について(その4)-分数は日常生活や社会でどのように使われているのか-

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時間や角度に関する表現

時間は、1時間は60分、1分は60秒というような形で、六十進法によっていることから、十進法では必ずしも適正に表現できずに、小数表現がマッチしない場合がある。

時間は基本的には時間と分で表現されるが、時には分数や小数で表現される。この時、15分であれば、1/4時間ないしは0.25時間ということになるが、10分の場合、通常1/6時間とはいうが、0.167時間とは言わない。

また、1年が12か月、1カ月が(基本的に)30日、1日が24時間という形で、必ずしも十進法に基づいたものになっていないため、これらの一部を表現するために、「半年」、「半月」、「半日」といったような形で、分数が使用される表現がある。

「四半」と言う言葉は4分の1を表しているが、次にくる言葉が、何を「四半」しているのかを示していることになる。例えば、「四半期」ということであれば、1年の12か月を4分の1しているということで、3か月を意味することになり、「四半世紀」ということであれば、一世紀(100年)を4分の1しているということで、25年を意味することになる。

因みに、、四半時(しはんとき)という表現があるが、これは、一時(いっとき)(約2時間)の4分の1の時間ということで、現在の約30分を意味している。

角度も、1周が360度、1度は60分、1分は60秒、といように六十進法がベースになっているので、角度についても分数で表現される場面がよくある。

勾配は、(1)水平の長さに対する垂直の長さの比(4.5/100や4.5%といった形で表現される)、(2)水平面に対する面の傾斜角度(3.5度といった形で表現される)、となっており、分数表記も使用される。

その他に日常生活において分数が使用されている例

もちろん、分数はその由来となっている考え方から、日常生活の中でそれとなく無意識的に数多くの機会で使用されている。例えば、何かの物(パン、ケーキ、ピザ、スイカ等)を複数個に分ける場合には、分数が使用されることになる。

また、具体的に分数が明示的に現れてくる例としては、「調理手法の調味料配分」等の中で、以下のような記載が行われている。

醤油   カップ 1/2
みりん  カップ 1/4
酒    カップ 1/5 

外国においてみられる分数

以前の研究員の眼「小数について(その4)-小数は日常生活や社会においてどのように使われているのか-」(2023.3.13)において述べたように、視力の表示において、欧米各国においては、「20/20」、「6/6」のように分数で表す「分数視力」が使用されている。

有名なイタリアのフェデリコ・フェリーニ監督の映画作品に「8 1/2」というものがある。これは、この作品がフェリーニ監督「単独」による8作目の作品であり、さらにフェリーニ監督の処女作「寄席の脚光」ではアルベルト・ラットゥアーダと共同監督をしていたので、それを「半分(1/2)」として加えると「8 1/2本目」の作品となる、ことに因んでつけられたもので、それ以上の特別な意味はないとされている。この作品は多くの映画監督によって、最高傑作と称賛されている。

最後に

今回は、分数を巡る話題について、分数が日常生活や社会でどのように使われているのかについて、述べてきた。

小数に比べると、日常生活や社会において、分数に出会う場面は少ないように思われるが、それでもいくつかのケースで分数が使用されていることがわかる。

次回は、小中学校で学ぶ分数を巡る話題について述べることで、改めて分数とは何かについて考える視点を提供してみたい。

(2023年04月28日「研究員の眼」)

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