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コロナ禍が高齢者の生活に与えた影響と回復に向けた取組(下)
生活研究部 准主任研究員・ジェロントロジー推進室兼任 坊 美生子
「チョイソコ」は、運行開始した後、アイシンや協業企業などが多彩なイベントを開催し、会員に対して、積極的に外出促進している点が大きな特徴である。最近では、高齢者をチョイソコでハーブ園に送迎し、ハーブ摘みなどの農作業をしたら報酬がもらえるイベントなど、特典付きの企画にも力を入れている。
コロナ禍で閉じこもりがちになった高齢者に対し、今後、外に出て介護予防をしてもらうためには、より多くの外出目的を持ち、自身のライフスタイルに合ったお出掛けをすることが大切である。また高齢者にとっては、誰かの手助けをして感謝されることが活動のインセンティブにもなるため、移動サービスにそのような企画を組み合わせて提供することも効果的だと考えられる。高齢者の移動手段確保と、身体活動・社会活動の促進、それによる介護予防・フレイル予防は、セットで考えていく必要がある。
■目次
・高齢者向けにインセンティブ付きのイベントを開いて、外出を促す。
・2か月間の実証実験で、チョイソコに乗って頻繁に外出した高齢者は、健康指標が改善した。
・高齢者の外出を回復させる鍵は、普段から活動の種類を増やしておくこと。
・インセンティブは若者と高齢者では違う。高齢者は他人から感謝されるだけでもインセンティブに
なる。
・広がる情報格差。情報発信する側はあらゆる手段を使うことが必要。
・車椅子等の高齢者にも外出を楽しんでもらうため、チョイソコで使用する車両を検討する。
・高齢者の足をどう確保するかという課題と、身体活動、社会活動の課題はセット。
<座談会参加者>
◇山田実氏 筑波大学人間系教授。専門分野は老年学。日本老年療法学会副理事長、日本サルコペニア・フレイル学会理事、日本転倒予防学会理事など。コロナ禍で、高齢者に向けて「三密回避」と同時に、身体活動と社会活動を続ける「3密2活」が、介護予防と健康長寿の実現のために必要だと訴え、積極的に情報発信を続けている。2021年5月から、研究室の学生らとともに毎週、介護予防に関する情報を配信する「web版集いのひろば」を運営。
◇加藤博巳氏 株式会社アイシン ビジネスプロモーション部長。1992年旧アイシン精機入社、Aisin Europe S.A.副社長などを歴任。2018年からイノベーションセンター部長に就任し、「チョイソコ」事業を統括している。
◇坊美生子(モデレーター) ニッセイ基礎研究所 生活研究部准主任研究員。ジェロントロジー推進室兼任。高齢者の視点で移動支援、交通政策を研究。
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03-3512-1821
- 【職歴】
2002年 読売新聞大阪本社入社
2017年 ニッセイ基礎研究所入社
【委員活動】
2023年度~ 「次世代自動車産業研究会」幹事
2023年度 日本民間放送連盟賞近畿地区審査会審査員
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