2025年02月13日

女性管理職転職市場の活発化~「働きやすさ」を求めて流動化し始めたハイキャリア女性たち~

生活研究部 准主任研究員・ジェロントロジー推進室兼任 坊 美生子

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■要旨

女性管理職のハンティングや人材紹介による転職市場が活発化している。ところが企業内では人材不足で、登用のみによる数値目標達成が難しいため、外部労働市場から、管理職層の女性を採用しようとする動きが活発化している。一方、管理職層や予備軍の女性たちにも、より働きやすい環境を求めて、転職を目指す動きが強まっている。

厚生労働省の「雇用動向調査」より、2012年以降の転職者数の推移を見ると、女性では、2023年は管理職として転職した人数が初めて3万人を超え、転職者全体に占める割合も2013年と並んで最高となった。また、筆者がヘッドハンティング会社や人材紹介会社計3社に行ったヒアリング調査でも、近年、女性管理職や“予備軍”の女性たちの成約数が大きく増加していることが分かった。現在、管理職として働く女性側には、「柔軟な働き方」への大きなニーズがあるためである。特に、コロナ禍を通じて、在宅勤務を利用できるようになった企業と、利用できない企業に分かれていることが、流動化を促している可能性があるだろう。

管理職や予備軍の女性たちの転職市場の活発化は、新たに、「働きやすさ」などを基準とした女性人材の争奪戦を生じさせる可能性がある。企業が管理職の働き方に目を向け、対策を取らなければ、今後、管理職層の女性人材は、ダイバーシティ経営が浸透した企業に集中していく可能性がある。

■目次

1――はじめに
2――女性管理職比率の現状
3――女性管理職の転職者数の推移~「雇用動向調査」より
4――女性管理職のヘッドハンティングや人材紹介の活発化~ヒアリング調査より~
  4-1│パソナ
  4-2│プロフェッショナルバンク
  4-3│Waris
  4-4│小括
5――現在の管理職の働き方に関する課題~定年後研究所・ニッセイ基礎研究所の共同研究より~
  5-1│管理職経験者のうち職場に何らかの課題を感じている人が8割
  5-2│長時間労働は中高年女性会社員が管理職に就きたくない理由の第3位
6――おわりに

(2025年02月13日「基礎研レポート」)

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生活研究部   准主任研究員・ジェロントロジー推進室兼任

坊 美生子 (ぼう みおこ)

研究・専門分野
中高年女性のライフデザイン、高齢者の交通サービス、ジェロントロジー

経歴
  • 【職歴】
     2002年 読売新聞大阪本社入社
     2017年 ニッセイ基礎研究所入社

    【委員活動】
     2023年度~ 「次世代自動車産業研究会」幹事
     2023年度  日本民間放送連盟賞近畿地区審査会審査員

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