2024年03月18日

企業は女性を管理職に「登用」すれば良いのか~ダイバーシティ経営を生産性向上につなげるために~

生活研究部 准主任研究員・ジェロントロジー推進室兼任 坊 美生子

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■要旨

2013、2014年の日本の成長戦略に「女性活躍」が掲げられて以降、女性活躍推進法が整備され、企業は競って女性登用を進めている。しかし、個々の企業で、登用が「生産性向上」につながっているかという検証はあまりされていない。その理由は、企業自身が、女性登用を生産性向上に結び付けるまでのプロセスを描けていないからではないだろうか。

先行研究によると、女性など、多様な人材を活用する「ダイバーシティ経営」がプラス効果を生むためには、「5本の柱」((1)「理念共有経営」、(2)多様な「人材像」を想定した人事管理システムの構築、(3)多様な人材が活躍できる土台としての「働き方改革」の実現、(4)多様な部下をマネジメントできる管理職と職場の「心理的安全性」、(5)働く一人ひとりの多様性の実現)と、経営トップの強いコミットが必要だと指摘している。

一方、現状における女性登用の効果について、筆者らが昨年10月に行ったアンケート「中高年女性会社員の管理職志向とキャリア意識等に関する調査~『一般職』に焦点をあてて~」の結果を見ると、職場で女性が管理職に登用されたことにより、組織運営・組織風土や働き方にプラス効果があったと感じている女性は、1~2割にとどまっていることが分かった。従って、女性登用を進める企業にとっては、単に登用を進めるだけではなく、就任後に能力を発揮してもらえるような組織マネジメントや働き方の改革が、今後の大きな課題だと言える。

■目次

1――はじめに
2――ダイバーシティ経営の成果を出すために必要な「5つの柱」
3――現状における女性登用の成果
  3-1│職場の女性社員からみた「女性管理職登用の効果」
  3-2│現職の女性管理職が感じている課題認識
  3-3│女性登用を進める企業の課題
4――終わりに
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生活研究部   准主任研究員・ジェロントロジー推進室兼任

坊 美生子 (ぼう みおこ)

研究・専門分野
中高年女性の雇用と暮らし、高齢者の移動サービス、ジェロントロジー

経歴
  • 【職歴】
     2002年 読売新聞大阪本社入社
     2017年 ニッセイ基礎研究所入社

    【委員活動】
     2023年度~ 「次世代自動車産業研究会」幹事
     2023年度  日本民間放送連盟賞近畿地区審査会審査員

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