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- 消費者物価(全国23年2月)-政府の負担緩和策でコアCPI上昇率は1%ポイント縮小したが、基調的な物価上昇圧力は強い
2023年03月24日
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1.政府の負担緩和策でコアCPI上昇率が大きく低下
コアCPIの内訳をみると、政府の負担緩和策の影響で、電気代(1月:前年比20.2%→2月:同▲5.5%)、ガス代(1月:前年比24.3%→2月:同12.5%)の伸びが大きく低下したことに加え、ガソリン(1月:前年比0.4%→2月:同▲2.5%)、灯油(1月:前年比4.3%→2月:同0.5%)も伸びが低下したことから、エネルギー価格の上昇率は前年比▲0.7%(1月:同14.6%)と21年3月以来、1年11ヵ月ぶりにマイナスとなった。

コアCPI上昇率を寄与度分解すると、エネルギーが▲0.06%(1月:1.22%)、食料(生鮮食品を除く)が1.83%(1月:1.74%)、携帯電話通信料が0.05%(1月:同0.03%)、全国旅行支援が▲0.14%(1月:同▲0.13%)、その他が1.40%(1月:1.34%)であった。
2.物価上昇品目の割合が8割を超える

価格転嫁の主因となっていた資源高や円安は一服しているが、川下にあたる消費者物価指数にその影響が反映されるまでには時間がかかる。このため、上昇品目割合の高止まりはしばらく続くだろう。
3.コアCPI上昇率は23年夏場まで2%台後半で高止まりへ
23年2月のコアCPIは、電気・都市ガス代の負担緩和策を主因として、1月の前年比4.2%から同3.1%へと伸び率が大きく縮小したが、コアコアCPIの上昇ペースが一段と加速するなど、基調的な物価上昇圧力は一段と高まっている。

原油高や円安の一服により、物価高の主因となっていた輸入物価の上昇には歯止めがかかっている。このため、今後は原材料コストを価格転嫁する動きが徐々に弱まり、財価格の上昇率は鈍化する公算が大きい。一方、下落が続いていたサービス価格は22年8月に上昇に転じた後、23年2月には前年比1.3%まで伸びを高めている。3月以降は鉄道運賃の値上げが実施されること、賃上げに伴う人件費の増加を価格転嫁する動きが広がることなどを踏まえれば、サービス価格の上昇率は今後さらに高まることが見込まれる。
コアCPI上昇率は、23年3月には3%を割り込む可能性が高いが、夏場までは2%台後半で高止まりすることが予想される。
(お願い)本誌記載のデータは各種の情報源から入手・加工したものであり、その正確性と安全性を保証するものではありません。また、本誌は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。
(2023年03月24日「経済・金融フラッシュ」)
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経歴
- ・ 1992年:日本生命保険相互会社
・ 1996年:ニッセイ基礎研究所へ
・ 2019年8月より現職
・ 2010年 拓殖大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2012年~ 神奈川大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2018年~ 統計委員会専門委員
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