2023年01月20日

米住宅着工・許可件数(22年12月)-着工件数は戸建てが回復も、集合住宅の減少から4ヵ月連続の減少。ただし、市場予想は上回る

経済研究部 主任研究員 窪谷 浩

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1.結果の概要:住宅着工は市場予想を上回るも、許可件数は市場予想を下回る

1月19日、米国センサス局は12月の住宅着工、許可件数を発表した。住宅着工件数(季節調整済、年率)は138.2万件(前月改定値:140.1万件)と142.7万件から下方修正された前月を下回った一方、市場予想の135.8万件(Bloomberg集計の中央値)を上回った(図表1、図表3)。

着工許可件数(季節調整済、年率)は133.0万件(前月改定値:135.1万件)と134.2万件から上方修正された前月、市場予想の136.5万件を下回った(図表2、図表5)。
(図表1)住宅着工件数/(図表2)住宅着工許可件数

2.結果の評価:戸建て着工件数は4ヵ月ぶりに回復も許可件数は軟調が継続

住宅着工件数の伸びは前月比▲1.4%(前月▲1.8%)と減少幅は縮小したものの、4ヵ月連続のマイナスとなった(図表3)。戸建てが+11.3%(前月:▲4.9%)と4ヵ月ぶりにプラスに転じた一方、集合住宅が▲19.0%(前月:+3.0%)と2桁のマイナスに転じて全体を押し下げた(図表4)。

前年同月比は▲21.8%(前月:▲17.9%)と8ヵ月連続のマイナスとなったほか、減少幅が拡大した。内訳をみると、戸建てが▲25.0%(前月:▲33.0%)と8ヵ月連続でマイナスとなったほか、集合住宅が▲14.9%(前月:+20.2%)と7カ月ぶりにマイナスに転じた。

地域別寄与度(前月比)は、北東部が+8.7%ポイント(前月:▲0.3%ポイント)と前月からプラスに転じた一方、中西部が▲5.5%ポイント(前月:▲1.8%ポイント)、南部が▲2.1%ポイント(前月:▲2.7%ポイント)と2ヵ月連続でマイナスとなったほか、西部が▲2.4%ポイント(前月:+2.9%ポイント)とマイナスに転じるなど、地域によってマチマチとなった。
(図表3)住宅着工件数(伸び率)/(図表4)住宅着工件数前月比(寄与度)
先行指標である住宅着工許可件数は、前月比▲1.6%(前月:▲10.6%)と前月から減少幅は大幅に縮小したものの、3ヵ月連続のマイナスとなった(図表5)。集合住宅が+5.3%(前月:▲15.1%)と前月からプラスに転じたものの、戸建てが▲6.5%(前月:▲7.1%)と10ヵ月連続でマイナスとなっており、戸建て回復の糸口はみえていない(図表6)。

前年同月比は▲29.9%(前月:▲21.9%)と5ヵ月連続でマイナスとなったほか、減少幅が拡大した。集合住宅が▲22.9%(前月:▲7.8%)と2ヵ月連続でマイナスとなったほか、戸建てが▲34.7%(前月:▲29.7%)と10ヵ月連続のマイナスとなった。
(図表5)住宅着工許可件数(伸び率)/(図表6)住宅着工許可件数前月比(寄与度)
(図表7)住宅着工件数と実質住宅投資の伸び率 一方、住宅着工件数と許可件数の3ヵ月移動平均、3ヵ月前比は年率で12月がそれぞれ▲12.3%(9月:▲40.0%)、▲41.3%(9月:▲28.7%)と9月から着工件数は減少幅が縮小した一方、許可件数は減少幅が拡大した(図表7)。

いずれにせよ、着工、許可件数ともに2桁のマイナスとなっており、実質GDPにおける住宅投資は22年7-9月期の前期比年率▲27.1%から、1月26日に発表される10-12月期も前期並みの2桁のマイナス成長となる可能性が高い。
 
 

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経済研究部   主任研究員

窪谷 浩 (くぼたに ひろし)

研究・専門分野
米国経済

経歴
  • 【職歴】
     1991年 日本生命保険相互会社入社
     1999年 NLI International Inc.(米国)
     2004年 ニッセイアセットマネジメント株式会社
     2008年 公益財団法人 国際金融情報センター
     2014年10月より現職

    【加入団体等】
     ・日本証券アナリスト協会 検定会員

(2023年01月20日「経済・金融フラッシュ」)

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