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コラム
2022年12月28日
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ウェアリングの問題
「ウェアリングの問題(Waring's problem)(あるいはウェアリングの予想)」と呼ばれるものは、全ての自然数 k ≥ 2 に対して、「全ての自然数はs個の非負のk乗数の和で表される」という性質を満たす整数sが存在するか、という問題を指している。
この問題は1770年に英国の数学者であるエドワード・ウェアリング(Edward Waring)によって提示され、1909年にドイツの著名な数学者であるダフィット・ヒルベルト(David Hilbert)によって、肯定的に解決されている。現在、ウェアリングの問題と言われているのは、「全ての自然数は s個の非負のk乗数の和で表される」を満足するsの最小値を決定する問題、を指している。
より具体的なケースを見てみると、以下の通りとなる。
まずは、「k=2 即ち平方数の場合を考えると、s=4である」ことが、前回の研究員の眼で報告したように、1772年にラグランジュによって証明されている。即ち「全ての自然数は、最大4個の四角数(平方数)の和で表される」となる。
これは、例えば、以下のような具合である。
15=32+22+12+12
30=52+22+12
60=72+32+12+12
次に、「k=3 即ち立方数の場合を考えると、s=9である」ことが、1900年代に入ってから、証明されている。即ち「全ての自然数は、最大9個の立方数の和で表される」となる。
具体的には、9個の立方数を必要とするのは「23」と「239」だけで、8個の立方数を必要とするものは15個、7個の立方数を必要とするものは「8,042」のみ、であることが知られており、殆どの数は6個以内の立方数の和で表されることになる。
23=23+23+13+13+13+13+13+13+13
239=43+43+33+33+33+33+13+13+13
8,042=193+103+43+43+33+33+13
ここで、注意が必要なのは、239の場合で、239に最も近い立方数は216(=63)なので、まずはこれを構成要素とすべきと考えるかもしれないが、そうすると残りが23になってしまい、23を表すには9個の立方数が必要なので、この場合には全体で10個の立方数が必要になってしまう。そこで、さらに小さい立方数を構成要素とすることで、立方数の個数を減らすことができることになる。
必ずしも、その数に最も近い立方数を構成要素として使用するケースが最小個数の立方数分解を構築するのではない、ということであり、なかなか興味深いものだと思われる。
この問題は1770年に英国の数学者であるエドワード・ウェアリング(Edward Waring)によって提示され、1909年にドイツの著名な数学者であるダフィット・ヒルベルト(David Hilbert)によって、肯定的に解決されている。現在、ウェアリングの問題と言われているのは、「全ての自然数は s個の非負のk乗数の和で表される」を満足するsの最小値を決定する問題、を指している。
より具体的なケースを見てみると、以下の通りとなる。
まずは、「k=2 即ち平方数の場合を考えると、s=4である」ことが、前回の研究員の眼で報告したように、1772年にラグランジュによって証明されている。即ち「全ての自然数は、最大4個の四角数(平方数)の和で表される」となる。
これは、例えば、以下のような具合である。
15=32+22+12+12
30=52+22+12
60=72+32+12+12
次に、「k=3 即ち立方数の場合を考えると、s=9である」ことが、1900年代に入ってから、証明されている。即ち「全ての自然数は、最大9個の立方数の和で表される」となる。
具体的には、9個の立方数を必要とするのは「23」と「239」だけで、8個の立方数を必要とするものは15個、7個の立方数を必要とするものは「8,042」のみ、であることが知られており、殆どの数は6個以内の立方数の和で表されることになる。
23=23+23+13+13+13+13+13+13+13
239=43+43+33+33+33+33+13+13+13
8,042=193+103+43+43+33+33+13
ここで、注意が必要なのは、239の場合で、239に最も近い立方数は216(=63)なので、まずはこれを構成要素とすべきと考えるかもしれないが、そうすると残りが23になってしまい、23を表すには9個の立方数が必要なので、この場合には全体で10個の立方数が必要になってしまう。そこで、さらに小さい立方数を構成要素とすることで、立方数の個数を減らすことができることになる。
必ずしも、その数に最も近い立方数を構成要素として使用するケースが最小個数の立方数分解を構築するのではない、ということであり、なかなか興味深いものだと思われる。
グノモン
「グノモン(Gnomon)」と言うのは、本来的には日時計の一部で影を落とすための直立の棒等を指している。古代ギリシアにおいては、四角数からより大きな四角数を構成するときにL字形の部品を付加すれば良かったが、これがグノモンと形が似ていることから、このL字形の部品をグノモンと呼んでいた。これから、より一般的に「ある図形に追加して、それと同じ形のより大きな図形を作るのに使う部品」のことをグノモンと呼ぶようになった。
まさに、ここにある意味で図形数が利用されていた例を見ることができるといえる。
まさに、ここにある意味で図形数が利用されていた例を見ることができるといえる。
最後に
今回は、三角錐数や立方数等の3次元の立体図形に関する図形数、パスカルの三角形及びウェアリングの問題について紹介した。
ウェアリングの問題については、まだまだ解決されていない。その意味で、数字の有する神秘さや奥深さには改めて感心させられるのではないだろうか。
今回の図形数に関する2回のコラムを通じて、少しは図形数に興味・関心を抱いてもらえればと思った次第である。
ウェアリングの問題については、まだまだ解決されていない。その意味で、数字の有する神秘さや奥深さには改めて感心させられるのではないだろうか。
今回の図形数に関する2回のコラムを通じて、少しは図形数に興味・関心を抱いてもらえればと思った次第である。
(2022年12月28日「研究員の眼」)
中村 亮一のレポート
日付 | タイトル | 執筆者 | 媒体 |
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