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2025年08月01日

ユーロ圏失業率(2025年6月)-過去最低水準の6.2%で横ばい

経済研究部 主任研究員 高山 武士

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1.結果の概要:失業率は6.2%

7月31日、欧州委員会統計局(Eurostat)はユーロ圏の失業率を公表し、結果は以下の通りとなった。
 

【ユーロ圏失業率(20か国、2025年6月、季節調整値)】
失業率は6.2%、市場予想1(6.3%)から下振れ、前月(6.2%)と同じだった(図表1・2)
失業者は1070.0万人となり、前月(1076.2万人)から6.2万人減少した

(図表1)ユーロ圏失業率/(図表2)ユーロ圏失業率
 
1 bloomberg集計の中央値。以下の予想値も同様。

2.結果の詳細:主要4か国すべてで失業者が減少

ユーロ圏(20か国)の6月の失業率は過去最低水準の6.2%となり、5月(6.2%)から横ばいだった。なお、過去データは5月分がわずかに改善方向に改定された(5月6.3%→6.2%)。

失業者数は6月の前月差で6.2万人減と減少に転じた。主要4か国ではイタリア(▲7.1万人)、スペイン(▲2.7万人)、フランス(▲1.0万人)、ドイツ(▲0.3万人)といずれも減少だった。失業者数はコロナ禍前より97万人少なく、スペイン(コロナ禍前比▲71万人)が大きく、次いでイタリア(同▲26万人)がやや減少に寄与している。一方、ドイツはコロナ禍前より18万人失業者が多い(図表3)。

6月の若年失業率は14.1%となり、5月(14.3%)から低下し、過去最低水準(23年3月の14.0%)に迫った。なお、若年失業率も過去データがわずかに改善方向に修正されている(5月14.4%→14.3%)。若年失業者数は6月で224.1万人(前月差▲3.4万人)と減少し、若年失業者数の水準はコロナショック直前(20年3月の234.5万人)を下回っている(図表4)。
(図表3)ユーロ圏(20か国)の累積失業者数変化/(図表4)ユーロ圏(20か国)の累積失業者数変化
国別の6月のデータを見ると、失業率は公表されている19か国中、悪化した国が3か国、改善が8か国、横ばいが8か国だった(図表5)。若年失業率は、公表されている19か国中、悪化した国が3か国、改善が10か国、横ばいが6か国だった(図表6)。
(図表5)ユーロ圏の失業率(国別)/(図表6)ユーロ圏の若年失業率(国別)
最後に詳細な月次データを公表しているイタリアとポルトガルについて確認すると、イタリアは失業者が減少、非労働力人口と就業者が増加し、労働参加率は前月のコロナ禍後の最高値(67.4%)からやや低下したものの、高水準を維持している(図表7)。ポルトガルも失業者が減少、非労働力人口と就業者が増加した(図表8)。ポルトガルでも労働参加率は減少したが、依然としてコロナ禍以降の最高値付近にとどまっている。

総じて、ユーロ圏の雇用環境は良好な状況が続いていると評価される。
(図表7)イタリアの失業者・非労働力人口・労働参加率/(図表8)ポルトガルの失業者・非労働力人口・労働参加率

本資料記載のデータは各種の情報源から入手・加工したものであり、その正確性と完全性を保証するものではありません。
また、本資料は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。

(2025年08月01日「経済・金融フラッシュ」)

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経済研究部   主任研究員

高山 武士 (たかやま たけし)

研究・専門分野
欧州経済、世界経済

経歴
  • 【職歴】
     2006年 日本生命保険相互会社入社(資金証券部)
     2009年 日本経済研究センターへ派遣
     2010年 米国カンファレンスボードへ派遣
     2011年 ニッセイ基礎研究所(アジア・新興国経済担当)
     2014年 同、米国経済担当
     2014年 日本生命保険相互会社(証券管理部)
     2020年 ニッセイ基礎研究所
     2023年より現職

     ・SBIR(Small Business Innovation Research)制度に係る内閣府スタートアップ
      アドバイザー(2024年4月~)

    【加入団体等】
     ・日本証券アナリスト協会 検定会員

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