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2025年10月31日

ユーロ圏失業率(2025年9月)-失業率は6.3%で横ばい推移

経済研究部 主任研究員 高山 武士

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1.結果の概要:全体の失業率は6.3%

10月30日、欧州委員会統計局(Eurostat)はユーロ圏の失業率を公表し、結果は以下の通りとなった。
 

【ユーロ圏失業率(20か国、2025年9月、季節調整値)】
失業率は6.3%、市場予想1(6.3%)と一致、前月(6.3%)から横ばいだった(図表1・2)
失業者は1100.3万人となり、前月(1093.8万人)から6.5万人増加した

(図表1)ユーロ圏失業率/(図表2)ユーロ圏失業率
 
1 bloomberg集計の中央値。以下の予想値も同様。

2.結果の詳細:若年失業率は若干悪化

ユーロ圏(20か国)の9月の失業率は6.3%となり、8月(6.3%)から横ばいで推移した。なお、過去データはわずかに悪化方向に改定された(7月6.2%→6.3%、6月6.3%→6.4%)。

失業者数は9月の前月差で6.5万人増と8月(+2.9万人)に続き2か月連続の増加となった。主要4か国ではドイツ(1.5万人)、フランス(3.1万人)、イタリア(3.2万人)が増加する一方で、スペイン(▲0.6万人)が減少した。失業者数はコロナ禍前より67万人少なく、スペイン(コロナ禍前比▲70万人)が大きく、次いでイタリア(同▲29万人)が減少に寄与している。一方、ドイツやフランスはコロナ禍前よりそれぞれ29万人、18万人失業者が多い(図表3)。

9月の若年失業率は14.4%となり、8月(14.3%)からやや上昇した。なお、若年失業率については過去データが大幅に悪化方向に修正されている(8月14.0%→14.3%、7月14.0%→14.2%、6月14.4%→14.5%)。若年失業者数は9月で228.2万人(前月差2.3万人)と8月までは3か月連続で減少していたが、増加に転じた。若年失業者数の水準はコロナショック直前(20年3月の234.6万人)を下回っている(図表4)。
(図表3)ユーロ圏(20か国)の累積失業者数変化/(図表4)ユーロ圏(20か国)の累積失業者数変化
国別の9月のデータを見ると、失業率は公表されている20か国中、悪化した国が10か国、改善が5か国、横ばいが5か国だった(図表5)。若年失業率は、公表されている20か国中、悪化した国が11か国、改善が4か国、横ばいが5か国だった(図表6)。
(図表5)ユーロ圏の失業率(国別)/(図表6)ユーロ圏の若年失業率(国別)
最後に詳細な月次データを公表しているイタリアとポルトガルについて確認すると、イタリアは失業者と就業者が増加し、非労働力人口が減少したため労働参加率がやや上昇した(図表7)。ポルトガルも失業者と就業者が増加、非労働力人口が減少したため労働参加率が増加した(図表8)。ポルトガルの労働参加率はコロナ禍後の最高値を更新した。
(図表7)イタリアの失業者・非労働力人口・労働参加率/(図表8)ポルトガルの失業者・非労働力人口・労働参加率

本資料記載のデータは各種の情報源から入手・加工したものであり、その正確性と完全性を保証するものではありません。
また、本資料は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。

(2025年10月31日「経済・金融フラッシュ」)

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経済研究部   主任研究員

高山 武士 (たかやま たけし)

研究・専門分野
欧州経済、世界経済

経歴
  • 【職歴】
     2006年 日本生命保険相互会社入社(資金証券部)
     2009年 日本経済研究センターへ派遣
     2010年 米国カンファレンスボードへ派遣
     2011年 ニッセイ基礎研究所(アジア・新興国経済担当)
     2014年 同、米国経済担当
     2014年 日本生命保険相互会社(証券管理部)
     2020年 ニッセイ基礎研究所
     2023年より現職

     ・SBIR(Small Business Innovation Research)制度に係る内閣府スタートアップ
      アドバイザー(2024年4月~)

    【加入団体等】
     ・日本証券アナリスト協会 検定会員

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