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- 消費者物価(全国22年11月)-コアCPI上昇率は4%に近づく
2022年12月23日
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1.コアCPI上昇率は3.7%

エネルギー価格の伸びが鈍化し、全国旅行支援の影響で宿泊料が10月の前年比▲10.0%から同▲20.0%へと下落率が拡大したが、食料(生鮮食品を除く)の伸びがさらに加速したことがコアCPIを押し上げた。
生鮮食品及びエネルギーを除く総合(コアコアCPI)は前年比2.8%(10月:同2.5%)、総合は前年比3.8%(10月:同3.7%)であった。
コアCPIの内訳をみると、ガス代(10月:前年比20.0%→11月:同21.0%)の伸びは高まったが、ガソリン(10月:前年比2.9%→11月:同▲1.0%)、灯油(10月:前年比13.3%→11月:同5.5%)、電気代(10月:前年比20.9%→11月:同20.1%)の伸びが鈍化したことから、エネルギー価格の上昇率は10月の前年比15.2%から同13.3%へと鈍化した。

原材料価格の高騰を受けて、食用油(前年比35.0%)、マヨネーズ(同21.0%)、パン(同13.7%)、麺類(同11.6%)などが前年比二桁の高い伸びを続けているほか、菓子類(10月:前年比6.6%→11月:7.3%)、調理食品(10月:前年比6.5%→11月:同6.8%)なども前月から伸びを高めた。
コアCPI上昇率を寄与度分解すると、エネルギーが1.10%(10月:1.22%)、食料(生鮮食品を除く)が1.60%(10月:1.39%)、携帯電話通信料が0.02%(10月:同0.03%)、全国旅行支援が▲0.28%(10月:同▲0.17%)、その他が1.25%(10月:1.13%)であった。
2.物価上昇品目の割合は8割に近づく

円安は全ての輸入品の価格上昇に直結するため、価格転嫁による物価上昇が幅広い品目に及んでいる。ここにきて円高が進行しているが、川下にあたる消費者物価指数にその影響が反映されるまでには時間がかかるため、当面は上昇品目数の増加傾向が続くだろう。
3.コアCPI上昇率は12月に4%程度まで上昇した後、物価高対策で23年入り後に鈍化
コアCPIは、食料品を中心に原材料価格の上昇を価格転嫁する動きが続くことから、22年12月には4%程度まで伸びが高まることが見込まれる。
23年入り後は物価高対策によって電気代、ガス代が大きく押し下げられる。エネルギー価格は22年1月以降、燃料油価格激変緩和措置によってガソリン、灯油価格が抑制されてきたが、23年2月(1月使用分)からは電気代、ガス代の抑制が加わることにより、物価高対策によるエネルギー価格の抑制効果は大きく拡大する。
当研究所の試算によれば、物価高対策に伴うエネルギー価格の抑制によるコアCPI上昇率の押し下げ効果は足もとの▲0.6%程度から、23年2月以降は▲1.5%程度まで拡大する。23年春以降は物価高対策による押し下げ効果を主因としてコアCPI上昇率は2%台まで低下する可能性が高い。
23年入り後は物価高対策によって電気代、ガス代が大きく押し下げられる。エネルギー価格は22年1月以降、燃料油価格激変緩和措置によってガソリン、灯油価格が抑制されてきたが、23年2月(1月使用分)からは電気代、ガス代の抑制が加わることにより、物価高対策によるエネルギー価格の抑制効果は大きく拡大する。
当研究所の試算によれば、物価高対策に伴うエネルギー価格の抑制によるコアCPI上昇率の押し下げ効果は足もとの▲0.6%程度から、23年2月以降は▲1.5%程度まで拡大する。23年春以降は物価高対策による押し下げ効果を主因としてコアCPI上昇率は2%台まで低下する可能性が高い。
(お願い)本誌記載のデータは各種の情報源から入手・加工したものであり、その正確性と安全性を保証するものではありません。また、本誌は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。
(2022年12月23日「経済・金融フラッシュ」)
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03-3512-1836
経歴
- ・ 1992年:日本生命保険相互会社
・ 1996年:ニッセイ基礎研究所へ
・ 2019年8月より現職
・ 2010年 拓殖大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2012年~ 神奈川大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2018年~ 統計委員会専門委員
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