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- 貿易統計22年11月-原油価格の下落、円安の一服で、貿易赤字が縮小
2022年12月15日
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1.貿易赤字(季節調整値)は縮小
財務省が12月15日に公表した貿易統計によると、22年11月の貿易収支は▲20,274億円の赤字となり、赤字幅は事前の市場予想(QUICK集計:▲16,802億円、当社予想は▲18,971億円)を上回る結果となった。原油価格下落の影響などから輸入の伸びが10月の前年比53.5%から同30.3%へと大きく鈍化したが、輸出が前年比20.0%(10月:同25.3%)と輸入の伸びを大きく下回ったため、貿易収支は前年に比べ▲10,539億円の悪化となった。
輸出の内訳を数量、価格に分けてみると、輸出数量が前年比▲3.6%(10月:同▲0.3%)、輸出価格が前年比24.4%(10月:同25.7%)、輸入の内訳は、輸入数量が前年比▲4.6%(10月:同5.7%)、輸入価格が前年比36.6%(10月:同45.3%)であった。
輸出の内訳を数量、価格に分けてみると、輸出数量が前年比▲3.6%(10月:同▲0.3%)、輸出価格が前年比24.4%(10月:同25.7%)、輸入の内訳は、輸入数量が前年比▲4.6%(10月:同5.7%)、輸入価格が前年比36.6%(10月:同45.3%)であった。
季節調整済の貿易収支は▲17,323億円と18ヵ月連続の赤字となったが、10月の▲22,076億円から赤字幅が縮小した。輸出が前月比▲1.3%と3ヵ月ぶりに減少したが、原油価格の下落、円安の一服を反映し、輸入が同▲5.3%の減少となった。
2.輸出は低迷が続く見込み
22年11月の輸出数量指数を地域別に見ると、米国向けが前年比1.0%(10月:同4.8%)、EU向けが前年比9.0%(10月:同9.4%)、アジア向けが前年比▲8.3%(10月:同▲6.2%)、うち中国向けが前年比▲16.4%(10月:同▲16.0%)となった。
22年11月の地域別輸出数量指数を季節調整値(当研究所による試算値)でみると、米国向けが前月比▲1.8%(10月:同▲3.2%)、EU向けが前月比2.2%(10月:同▲0.0%)、アジア向けが前月比▲1.2%(10月:同▲3.8%)、中国向けが前月比▲0.1%(10月:同▲10.1%)、全体では前月比▲1.8%(10月:同▲0.7%)となった。22年10、11月の平均を22年7-9月期と比較すると、EU向けは0.8%高いが、米国向けが▲6.1%、アジア向けが▲5.1%、中国向けが▲10.4%、全体では▲1.6%低くなっている。
EU向けは堅調を維持しているが、ゼロコロナ政策の影響で中国向けは再び落ち込み、景気が減速している米国向けは低迷が続いている。輸出数量全体としては弱めの動きとなっている。
先行きの輸出は、金融引き締めの影響で景気減速がより鮮明となることが見込まれる欧米向けを中心に低迷が続く可能性が高い。
(お願い)本誌記載のデータは各種の情報源から入手・加工したものであり、その正確性と安全性を保証するものではありません。また、本誌は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。
(2022年12月15日「経済・金融フラッシュ」)
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03-3512-1836
経歴
- ・ 1992年:日本生命保険相互会社
・ 1996年:ニッセイ基礎研究所へ
・ 2019年8月より現職
・ 2010年 拓殖大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2012年~ 神奈川大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2018年~ 統計委員会専門委員
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