- シンクタンクならニッセイ基礎研究所 >
- 経済 >
- 経済予測・経済見通し >
- 中国経済の見通し-2022年は前年比3.4%増、23年は同5.3%増、24年は同5.2%増と予想
中国経済の見通し-2022年は前年比3.4%増、23年は同5.3%増、24年は同5.2%増と予想

三尾 幸吉郎
このレポートの関連カテゴリ
文字サイズ
- 小
- 中
- 大
5. 中国経済の見通し
2022年は成長率目標「5.5%前後」を大幅に下回る見込み(前年比3.4%増)だが、そうした経済不振の背景にはCOVID-19の第2波が襲来したことに加えて、10月に党大会というビッグイベントが開催されたことがあった。その重要性があまりにも高いことから、さまざまな面で中国経済を下押しすることになったのである。党大会までは何としてもCOVID-19の感染拡大を阻止しようと、中国政府が居住地域をなるべく出ないよう指導したため、9月の中秋節や10月の国慶節の連休では旅行者が減少し、個人消費を下押しした。投資に関しても、党大会で決まる重要政策や最高指導部の人事を見極めた上で投資判断しようと、実施を先送りする動きが見られた。
しかし、そうした制約条件が無くなる2023年はさまざまな面で経済活動が活性化していくと見ている。COVID-19の新規感染が多少増えたとしても、無症状の患者が大半を占めていたり、死亡者がほんのわずかだったりすれば、その厳格度はゆっくりとだが徐々に緩和されていくだろう。実際、習近平国家主席は「ゼロコロナ政策を堅持する」と宣言したまま、2022年9月には外遊を再開し、11月のG20サミットでは外遊したうえ夕食会にも参加した。また、党大会が終わったことで民間投資も活性化する。新指導部の顔ぶれが分かり、経済運営の方向性が予想しやすくなるからだ。企業家にとっては、ライバルに先んじてビジネス機会を捉えるビッグチャンスでもある。したがって、2023年は抑制されてきた消費が徐々に勢いを取り戻し、不振だった民間投資も徐々に勢いを取り戻す年となるだろう。
但し、来春に開催される全人代では、経済運営を担う首相が交代することになる。新首相がその手腕を存分に発揮できるようになるには一定の準備期間が必要となるだろう。そこで2023年上半期はやや低め(前期比年率4%前後)、下半期はやや高め(同6%前後)と予想している。これらを前年比に直すと5.3%増となる。
そして、2024年は前期比年率で5%前後の巡行速度(=大規模な政策支援なしで無理なく成長できる水準)での経済成長に回帰と予想している。これを前年比に直すと5.2%増となる。
(お願い)本誌記載のデータは各種の情報源から入手・加工したものであり、その正確性と安全性を保証するものではありません。また、本誌は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。
(2022年11月25日「Weekly エコノミスト・レター」)
このレポートの関連カテゴリ
三尾 幸吉郎
三尾 幸吉郎のレポート
日付 | タイトル | 執筆者 | 媒体 |
---|---|---|---|
2025/05/23 | 図表でみる世界の外為レート-世界各地の通貨をランキングすると、日本円はプラザ合意を上回るほどの割安で、人民元はさらに安い | 三尾 幸吉郎 | 基礎研レター |
2025/04/15 | 図表でみる世界の民主主義-日本の民主主義指数は上昇も、世界平均は低下。世界ではいったい何が起きているのか? | 三尾 幸吉郎 | 基礎研レター |
2024/12/16 | 図表でみる世界のGDP-日本が置かれている現状と世界のトレンド | 三尾 幸吉郎 | 基礎研レター |
2024/07/30 | 図表でみる世界の人口ピラミッド | 三尾 幸吉郎 | 基礎研レター |
新着記事
-
2025年08月20日
日米欧の産業別の経済成長 -
2025年08月20日
曲線にはどんな種類があって、どう社会に役立っているのか(その12)-螺旋と渦巻の応用- -
2025年08月20日
貿易統計25年7月-貿易収支は事前予想を大きく下回ったが、関税引き上げの影響本格化はこれから -
2025年08月20日
米住宅着工・許可件数(25年7月)-着工件数(前月比)は減少予想に反して前月から2ヵ月連続の増加 -
2025年08月19日
「縮みながらも豊かに暮らす」社会への転換(3)-「稼ぐ力」「GX」強化と若年・女性参加を促す「ウェルビーイング」
レポート紹介
-
研究領域
-
経済
-
金融・為替
-
資産運用・資産形成
-
年金
-
社会保障制度
-
保険
-
不動産
-
経営・ビジネス
-
暮らし
-
ジェロントロジー(高齢社会総合研究)
-
医療・介護・健康・ヘルスケア
-
政策提言
-
-
注目テーマ・キーワード
-
統計・指標・重要イベント
-
媒体
- アクセスランキング
お知らせ
-
2025年07月01日
News Release
-
2025年06月06日
News Release
-
2025年04月02日
News Release
【中国経済の見通し-2022年は前年比3.4%増、23年は同5.3%増、24年は同5.2%増と予想】【シンクタンク】ニッセイ基礎研究所は、保険・年金・社会保障、経済・金融・不動産、暮らし・高齢社会、経営・ビジネスなどの各専門領域の研究員を抱え、様々な情報提供を行っています。
中国経済の見通し-2022年は前年比3.4%増、23年は同5.3%増、24年は同5.2%増と予想のレポート Topへ