- シンクタンクならニッセイ基礎研究所 >
- 経済 >
- 中国経済 >
- 中国経済の現状と2023年の注目点-新指導部はどんな財政・金融・コロナ政策を打ち出すのか
2022年10月28日
文字サイズ
- 小
- 中
- 大
■要旨
- 中国国家統計局は10月24日、2022年7-9月期の国内総生産(GDP)を発表した。経済成長率は実質で前年同期比3.9%増と4-6月期(同0.4%増)を大幅に上回った(左下図)。前四半期には新型コロナウイルス感染症(COVID-19)で失速したが、今四半期はそこから持ち直した。一方、22年1-9月期のインフレについては、工業生産者出荷価格(PPI)が前年同期比5.9%上昇したものの、消費者物価(CPI)は同2.0%上昇と低位で安定していた。
- 需要別の寄与度を見ると、最終消費は+2.1ポイントと前四半期の▲0.84ポイントからブラス寄与に転じた。総資本形成(≒投資)は+0.8ポイントと前四半期の+0.27ポイントからプラス寄与が若干増えた。純輸出は+1.1ポイントと前四半期の+0.98ポイントからプラス寄与が若干増えた。前四半期には消費が落ち込んだため、今四半期はその反動もあって消費の回復が目立った。但し、娯楽、飲食、衣類などの消費は力強さに欠けたままである。
- 他方、産業面から見ると(右下表)、製造業、建築業、金融業、情報通信・ソフトウェア・ITが全体の実質成長率を上回る伸びを示した一方、第1次産業、交通・運輸・倉庫・郵便業、卸小売業、宿泊飲食業、不動産業がそれを下回った。特に、不動産規制強化の逆風下にある不動産業は前年同期比4.2%減と5四半期連続のマイナス成長となった。不動産開発の先行指標も大幅な前年割れが続いており、回復の兆しは見えない。
- 2023年の注目点としては、ここもとの共産党大会で進発した新指導部が、来春に開催される全国人民代表大会(全人代、国会に相当)で、どんな財政政策(財政出動を増やすか、持続可能性を重視か)、どんな金融政策(バブル抑制第一を堅持か、景気回復に方針転換か)、どんなコロナ政策(ゼロコロナを堅持か、ウィズコロナに軌道修正か)を打ち出すかである。
(2022年10月28日「Weekly エコノミスト・レター」)
このレポートの関連カテゴリ
三尾 幸吉郎
三尾 幸吉郎のレポート
日付 | タイトル | 執筆者 | 媒体 |
---|---|---|---|
2024/12/16 | 図表でみる世界のGDP-日本が置かれている現状と世界のトレンド | 三尾 幸吉郎 | 基礎研レター |
2024/07/30 | 図表でみる世界の人口ピラミッド | 三尾 幸吉郎 | 基礎研レター |
2024/04/05 | 不動産バブルの日中比較と中国経済の展望 | 三尾 幸吉郎 | 基礎研マンスリー |
2024/03/11 | Comparison of Real Estate Bubbles in China and Japan, and Prospects for the Chinese Economy | 三尾 幸吉郎 | 基礎研レポート |
新着記事
-
2025年03月25日
ますます拡大する日本の死亡保障不足-「2024(令和6)年度 生命保険に関する全国実態調査<速報版>」より- -
2025年03月25日
米国で広がる“出社義務化”の動きと日本企業の針路~人的資本経営の視点から~ -
2025年03月25日
産業クラスターを通じた脱炭素化-クラスターは温室効果ガス排出削減の潜在力を有している -
2025年03月25日
「大阪オフィス市場」の現況と見通し(2025年) -
2025年03月25日
ヘルスケアサービスのエビデンスに基づく「指針」公表
レポート紹介
-
研究領域
-
経済
-
金融・為替
-
資産運用・資産形成
-
年金
-
社会保障制度
-
保険
-
不動産
-
経営・ビジネス
-
暮らし
-
ジェロントロジー(高齢社会総合研究)
-
医療・介護・健康・ヘルスケア
-
政策提言
-
-
注目テーマ・キーワード
-
統計・指標・重要イベント
-
媒体
- アクセスランキング
お知らせ
-
2024年11月27日
News Release
-
2024年07月01日
News Release
-
2024年04月02日
News Release
【中国経済の現状と2023年の注目点-新指導部はどんな財政・金融・コロナ政策を打ち出すのか】【シンクタンク】ニッセイ基礎研究所は、保険・年金・社会保障、経済・金融・不動産、暮らし・高齢社会、経営・ビジネスなどの各専門領域の研究員を抱え、様々な情報提供を行っています。
中国経済の現状と2023年の注目点-新指導部はどんな財政・金融・コロナ政策を打ち出すのかのレポート Topへ