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中国経済の現状と今後の注目点-成長率目標の達成が絶望的となった今、財政・金融・ゼロコロナの3つの政策運営に注目!
三尾 幸吉郎
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- 中国国家統計局は7月15日、22年4-6月期の国内総生産(GDP)を発表した。経済成長率は実質で前年同期比0.4%増と1-3月期(同4.8%増)から失速した(左下図)。失速の主因は新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の“第2波”だった。一方、22年上半期のインフレについては、工業生産者出荷価格(PPI)が国際的な資源エネルギー高を背景に前年同期比7.7%上昇したものの、消費者物価(CPI)は同1.7%上昇と低位で安定していた。
- 需要別の寄与度を見ると、最終消費は▲0.8ポイントと深刻な打撃を受け、総資本形成(≒投資)も+0.3ポイントに留まったものの、純輸出は+1.0ポイントと堅調だった。月毎に見るとCOVID-19の新規感染がピークだった4月には消費・投資・輸出の3つの柱が揃って失速したが、5月には投資がプラスに転じ輸出も2桁増を回復し、6月には消費もプラスに転じて3つの柱がいずれもプラス成長となった。ひとまずは失速が止まったと言えるだろう。
- 他方、産業面から見ると(右下図)、第1次産業、建築業、金融業、情報通信・ソフトウェア・ITは堅調を保ったものの、製造業が前年同期比0.3%減とマイナスに落ち込んだのに加えて、“第2波”襲来で人流が止まったことを背景に、宿泊飲食業が同5.3%減、交通・運輸・倉庫・郵便業が同3.5%減、卸小売が同1.8%減と軒並みマイナスに落ち込んだ。さらに、不動産規制強化の逆風下にある不動産業は同7.0%減と4四半期連続のマイナスとなった。
- 成長率目標「5.5%前後」の達成が絶望的となった今、財政・金融・ゼロコロナの3つの政策運営が注目される。財政発動は地方特別債発行枠(来年度分)前倒しなど小規模に留まりそうだが、特別国債で大型化する可能性も残る。金融政策は不動産を短期的景気刺激手段に使わないと宣言しただけに大幅利下げは期待できない。ウィズコロナ政策への移行は早くても来春以降と見られるが、それより早く黙って(宣言せずに)軌道修正する可能性もある。
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