2022年11月18日

米住宅着工・許可件数(22年10月)-着工件数は前月から減少も市場予想は上回る

経済研究部 主任研究員 窪谷 浩

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1.結果の概要:住宅着工・許可件数ともに前月から減少も市場予想を上回る

11月17日、米国センサス局は10月の住宅着工、許可件数を発表した。住宅着工件数(季節調整済、年率)は142.5万件(前月改定値:148.8万件)と143.9万件から上方修正された前月を下回った一方、市場予想の141.0万件(Bloomberg集計の中央値)を上回った(図表1、図表3)。

着工許可件数(季節調整済、年率)は152.6万件(前月:156.4万件)とこちらも前月を下回った一方、市場予想の151.4万件は上回った(図表2、図表5)。
(図表1)住宅着工件数/(図表2)住宅着工許可件数

2.結果の評価:着工・許可件数ともに戸建て住宅の不振が鮮明

住宅着工件数の伸びは前月比▲4.2%(前月▲1.3%)と2ヵ月連続のマイナスとなったほか、マイナス幅が拡大した(図表3)。戸建てが▲6.1%(前月:▲1.3%)、集合住宅が▲1.2%(前月:▲1.3%)といずれも2ヵ月連続のマイナスとなった(図表4)。

前年同月比は▲8.8%(前月:▲4.6%)と6ヵ月連続のマイナスとなった。内訳をみると、集合住宅が+17.8%(前月:+24.1%)と3ヵ月連続で2桁の伸びを維持したものの、戸建てが▲20.8%(前月:▲16.7%)と6ヵ月連続でマイナスとなったほか、前月からマイナス幅が拡大して全体を押し下げた

地域別寄与度(前月比)は、南部が+3.4%ポイント(前月:▲2.5%ポイント)と前月からプラスに転じた一方、中西部が▲1.5%ポイント(前月:+1.7%ポイント)、西部が▲2.7%ポイント(前月:+1.5%ポイント)と前月からマイナスに転じた。また、北東部が▲3.4%ポイント(前月:▲2.1%ポイント)と2ヵ月連続のマイナスとなった。
(図表3)住宅着工件数(伸び率)/(図表4)住宅着工件数前月比(寄与度)
先行指標である住宅着工許可件数は、前月比▲2.4%(前月:+1.4%)と前月からマイナスに転じた(図表5)。戸建てが▲3.6%(前月:▲3.3%)と8ヵ月連続でマイナスとなったほか、集合住宅も▲1.0%(前月:+8.1%)とマイナスに転じた(図表6)。

前年同月比は▲10.1%(前月:▲3.2%)と3ヵ月連続でマイナスとなったほか、マイナス幅が拡大した。集合住宅が+10.6%(前月:+23.7%)と2ヵ月連続で2桁のプラスとなったものの、戸建てが▲22.1%(前月:▲17.5%)と8ヵ月連続のマイナスとなって全体を押し下げた。
(図表5)住宅着工許可件数(伸び率)/(図表6)住宅着工許可件数前月比(寄与度)
(図表7)住宅市場指数(項目別) 一方、全米建設業協会(NAHB)による戸建て新築住宅販売のセンチメントを示す住宅市場指数は、11月が33(前月:38)と11カ月連続で低下し、20年4月以来の水準に悪化したほか、市場予想の36も下回った(図表7)。内訳は販売現況が39(前月:45)、販売見込みが31(前月:35)、客足が20(前月:25)となり、販売見込みは12年1月以来、客足は11年12月以来と新型コロナ流行後の落ち込みを下回る水準に悪化した。

NAHBのプレスリリースは「金利の上昇、建築資材コストの高止まり、値ごろ感の低下により、より多くの購入者を脇に追いやっており、建設業者センチメントの足を引っ張り続いている」ことを指摘した。FRBによる急激な金融引締めが継続される中、戸建てを中心に住宅需要は引き続き厳しい状況が続こう。
 
 

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経済研究部   主任研究員

窪谷 浩 (くぼたに ひろし)

研究・専門分野
米国経済

経歴
  • 【職歴】
     1991年 日本生命保険相互会社入社
     1999年 NLI International Inc.(米国)
     2004年 ニッセイアセットマネジメント株式会社
     2008年 公益財団法人 国際金融情報センター
     2014年10月より現職

    【加入団体等】
     ・日本証券アナリスト協会 検定会員

(2022年11月18日「経済・金融フラッシュ」)

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