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企業主導のSDGs祭りから国民主役のESG投資へ

日本生命保険相互会社 執行役員/PRI(国連責任投資原則)理事 木村 武
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1――日本独特のSDGsブーム
日本では、企業がSDGs経営に横並びで取組み、地方自治体も国からSDGs未来都市の認定を受けるべく取組みを横並びで積極化させたことが背景にあるとみられる。企業の従業員も自治体の職員も皆がこぞってSDGsバッジを胸につける光景は、海外ではみられない日本独特のものとなった。
2――SDGsブームの効果
1 日本の金融業の内訳をみると、主に地銀のSDGsスコアが低い。
2 Arabesque S-RayのGC(Global Compact) scoreをみると、日本企業の平均点の改善幅は、過去1年間で1点にも満たない(2021/9/26:53.2点→2022/9/2:53.9点)。
3 電通・電通総研「サステナブル・ライフスタイル意識調査2021」、調査時期:2021年7月
3――SDGsとESGの(アン)バランス
また、ESGに対する理解不足が、日本の消費者のSDGsに対する基本スタンスを消極的にしている可能性も考えられる。企業がESG課題(リスクと機会)に適切に対処しながら、自社の生産活動を通してSDGsに貢献するプロセスにおいて、投資家は実社会と企業の橋渡しの役割を担っている(図6)。すなわち、投資家は、ESGスコアの高い企業や実社会に対して高いインパクトを有する企業へ投資を行ったり、スチュワードシップ活動を通して企業のESG課題への対応を促すことで、SDGsに貢献することができる。しかし、資金の最終的な出し手である家計(受益者や顧客)がこうしたESG投資のメカニズムを理解しなければ、資金拠出に消極的になり、結果として、ESG投資からのリターンを享受する機会もなく、SDGsの達成が家計にもたらし得る長期的な恩恵に対する期待も高まらない。
(2022年09月07日「基礎研レポート」)
日本生命保険相互会社 執行役員/PRI(国連責任投資原則)理事 木村 武
日本生命保険相互会社 執行役員/PRI(国連責任投資原則)理事 木村 武のレポート
日付 | タイトル | 執筆者 | 媒体 |
---|---|---|---|
2024/11/05 | 低賃金はESGリスク、脱・環境対策偏重のススメ | 日本生命保険相互会社 執行役員/PRI(国連責任投資原則)理事 木村 武 | 基礎研レポート |
2024/06/20 | 物価安定とSDGs、中央銀行が抱える新たな二律背反 | 日本生命保険相互会社 執行役員/PRI(国連責任投資原則)理事 木村 武 | 基礎研レポート |
2022/09/07 | 企業主導のSDGs祭りから国民主役のESG投資へ | 日本生命保険相互会社 執行役員/PRI(国連責任投資原則)理事 木村 武 | 基礎研レポート |
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