- シンクタンクならニッセイ基礎研究所 >
- 経営・ビジネス >
- 企業経営・産業政策 >
- 物価安定とSDGs、中央銀行が抱える新たな二律背反
物価安定とSDGs、中央銀行が抱える新たな二律背反

日本生命保険相互会社 執行役員/PRI(国連責任投資原則)理事 木村 武
文字サイズ
- 小
- 中
- 大
- 企業がSDGs達成に貢献すべく、サステナビリティ経営を推進していくもとでは、外部不経済の内部化に伴うコストプッシュ・ショックが発生し、インフレ圧力が高まる。
- このインフレ圧力に対して、中央銀行が金融を引き締めれば、SDGs達成に必要な設備投資が削減されるなどして、企業による外部不経済の内部化も抑制される結果、SDGsの達成が遠のくことになる。SDGsが未達成に終わり、環境・社会の持続可能性が損なわれれば、全ての企業の事業基盤が毀損し、金融システムの不安定化と制御不能なインフレを招く可能性が高い。
- したがって、中央銀行は、物価安定とSDGs達成の間のトレードオフに直面する。SDGs達成というチャネルを通して、中央銀行は「今日」の物価安定と「将来」の物価安定の間の異時点間トレードオフに直面していると言い換えることもできよう。
- 2030年までのSDGs達成に向けて、今後、機関投資家も企業もギアをあげていく中で、中央銀行は物価安定とSDGs達成の二律背反にどう向き合っていくべきか、難しい舵取りを迫られることになろう。
* 本レポートは、NIKKEI Financial(2024/5/9)への寄稿を、日本経済新聞社の許可を得て転載したものである。
■目次
1―― 事業基盤脅かすシステムレベル・リスク
2―― 金融のノルムの変化
3―― 外部不経済の内部化に伴うコストプッシュ・ショック
4―― SDGs達成に向けた機関投資家の行動
5―― 石油ショックより手ごわいSDGsショック
6―― 物価安定とSDGs達成、二正面の難路
7―― 新たなマインドセットを
(2024年06月20日「基礎研レポート」)
日本生命保険相互会社 執行役員/PRI(国連責任投資原則)理事 木村 武
日本生命保険相互会社 執行役員/PRI(国連責任投資原則)理事 木村 武のレポート
日付 | タイトル | 執筆者 | 媒体 |
---|---|---|---|
2024/11/05 | 低賃金はESGリスク、脱・環境対策偏重のススメ | 日本生命保険相互会社 執行役員/PRI(国連責任投資原則)理事 木村 武 | 基礎研レポート |
2024/06/20 | 物価安定とSDGs、中央銀行が抱える新たな二律背反 | 日本生命保険相互会社 執行役員/PRI(国連責任投資原則)理事 木村 武 | 基礎研レポート |
2022/09/07 | 企業主導のSDGs祭りから国民主役のESG投資へ | 日本生命保険相互会社 執行役員/PRI(国連責任投資原則)理事 木村 武 | 基礎研レポート |
新着記事
-
2025年09月18日
米住宅着工・許可件数(25年8月)-着工件数(前月比)は減少に転じたほか、市場予想も下回る -
2025年09月17日
ふるさと納税「お得競争」の終焉-ポイント還元の廃止で問われる「地域貢献」と「持続可能な制度」のこれから -
2025年09月17日
貿易統計25年8月-関税引き上げの影響が顕在化し、米国向け自動車輸出が数量ベースで大きく落ち込む -
2025年09月17日
「最低賃金上昇×中小企業=成長の好循環」となるか?-中小企業に託す賃上げと成長の好循環の行方 -
2025年09月17日
家計消費の動向(二人以上世帯:~2025年7月)-実質賃金改善下でも「メリハリ消費」継続、娯楽支出は堅調を維持
レポート紹介
-
研究領域
-
経済
-
金融・為替
-
資産運用・資産形成
-
年金
-
社会保障制度
-
保険
-
不動産
-
経営・ビジネス
-
暮らし
-
ジェロントロジー(高齢社会総合研究)
-
医療・介護・健康・ヘルスケア
-
政策提言
-
-
注目テーマ・キーワード
-
統計・指標・重要イベント
-
媒体
- アクセスランキング
お知らせ
-
2025年07月01日
News Release
-
2025年06月06日
News Release
-
2025年04月02日
News Release
【物価安定とSDGs、中央銀行が抱える新たな二律背反】【シンクタンク】ニッセイ基礎研究所は、保険・年金・社会保障、経済・金融・不動産、暮らし・高齢社会、経営・ビジネスなどの各専門領域の研究員を抱え、様々な情報提供を行っています。
物価安定とSDGs、中央銀行が抱える新たな二律背反のレポート Topへ