2024年11月05日

低賃金はESGリスク、脱・環境対策偏重のススメ

日本生命保険相互会社 執行役員/PRI(国連責任投資原則)理事 木村 武

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■要旨
 
  • SDGsの2030年達成に向けたグローバル社会の動きが遅れる中、国連グローバルコンパクトは、企業の取組みを加速させるためのイニシアティブ「Forward Faster」を23年夏に始動させた。同イニシアティブには5つの重点分野が設定されているが、社会(S)課題として取り上げられているのは、人権でもなければ、人的資本でもない。日本ではまだあまり馴染のない「生活賃金」である。
     
  • これは、人権や人的資本が重要でないからではない。むしろ、重要だからこそ――人権や人的資本に対する企業の取組みを一層促進するために――、生活賃金に焦点をあてている。
     
  • 以下では、ESGの観点で生活賃金がグローバルに関心が高まっている背景、ならびに、日本の生活賃金の実態について紹介し、日本でも、企業や投資家が生活賃金に関する課題に取り組んでいくことの重要性について読者と共有したい。
 
※ 本レポートは、NIKKEI Financial(2024/10/3)への寄稿を日本経済新聞社の許可を得て転載したものである。


■目次

1―― 最低賃金と生活賃金の違い
2―― 日本の生活賃金の実態
3―― ESGの視点とシステムレベル・リスク
4―― システム思考と生活賃金
5―― Next Step

(2024年11月05日「基礎研レポート」)

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