2022年08月05日

外国人観光客のマスク着用には明確なルールが必要-受入れ側、観光客双方にわかりやすく、より現実的な対応を

基礎研REPORT(冊子版)8月号[vol.305]

金融研究部 准主任研究員   渡邊 布味子

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世界の水際対策の緩和状況

政府は2022年6月10日より、外国人観光客の入国制限を見直し、旅行代理店等を受入責任者とする添乗員付きパッケージツアーの受入れを開始した。

国内では、主要な観光地で順次ラグジュアリーホテルが竣工を迎えており、外国人観光客を物理的に受入れる環境はコロナ禍前よりも整いつつある。

しかし、海外の状況をみると、水際対策緩和の流れは日本の先を行っている。国連世界観光機関(UNWTO)と国際航空運送協会(IATA)の公表によると、「外国人の入国に制限が何もない国」は、2022年7月1日には55カ国に増加した。うち35カ国(G7のうちイタリア、英国を含む)がヨーロッパに位置しており[図表1]、観光大国であるフランス、スペインも、陰性証明またはワクチン追加接種の義務化などの一部制限があるものの、外国人の入国制限、検疫、待機期間は解除されている。現在、ヨーロッパは最も開放的なエリアであると言えるだろう。
[図表1]新型コロナウィルス感染症に関する外国人入稿に制限が何もない国の数(全世界、エリア別、2022年)
アジア太平洋では4か国・地域(モンゴル、アフガニスタン、ベトナム、北マリアナ諸島(サイパンなど))が水際対策を撤廃している。また、アジア太平洋内の観光大国は中国、日本、タイであるが、中国と日本が外国人に対して排他的な対応を取るなか、タイはヨーロッパの観光大国に近い対応を取っている。

コロナ後に日本に行きたい理由に「以前に旅行したことがあり、気に入ったから」を挙げる外国人は多いが、複数の国への海外旅行経験がある人なら他の国も該当する可能性がある。制限の厳しい日本を選ぶかどうかはわからない。

世界と日本のマスク制限の状況

日本政府は日本を訪れる旅行者に対し、6月7日に公表された各観光関係者向けの「ガイドライン」の内容(事前に民間医療保険に加入、マスク着用や手指消毒の徹底など)の遵守を求める。厳しい条件が課される背景には、日本と異なり、外国ではあまりマスクをしていない人が多いとの認識があると思われる。

オックスフォード大学によると、2022年7月1日時点で「マスク推奨」あるいは「マスク制限なし」の国は、アジア太平洋では6%であるのに対し、ヨーロッパでは46%、南北アメリカでは14%と高い。確かにこの数字を見ると、不安を覚える人も多いかもしれない[図表2]。
[図表2]マスク制限についての各国政府対応(エリア別、2022年7月5日時点)
しかし、このデータにおいて、日本は「マスク推奨」の国、政府の規制という意味では、実は制限が緩い国に該当している。我々は、いわゆる周囲の目を意識し、暗黙の了解のなかで「外出時においても常時マスク着用が必要」という常識とか同調圧力の中で生活していることに改めて気づかされる。

東京五輪の際の外国からの訪日客のほとんどはマスコミや五輪関係者で、仕事目的であり、「マスク着用のお願い」を守ってもらいやすい状況であったはずだ。

これからやって来る訪日客は、レジャーとして休暇を快適かつ楽しく過ごそうと日本を選んだ客であり、相対的に「お願い」を守ってもらいにくいだろう。

制限の明確なルール化が必要ではないか

感染拡大の第7波が広がる中、新型コロナウイルスに関しては依然として分からないことも多く、必ずしも日本が外国の状況に追随する必要はない。しかし、経済の回復が他の先進諸国より遅れ、そのことで苦しんでいる人も多くいる。特に観光業にとっては非常に厳しい状況が続いており、ようやく明るい兆しが見えてきたところである。

外国人観光客の立場に立てば、日本における暗黙の了解は分かりにくい。政府が課す義務でなくとも、もっと具体的で明確な統一ルールを設定しない限り、徹底は難しいのではないだろうか。

受け入れ側と、外国人観光客双方にとって快適な環境を整えていくという視点を忘れず、日本独自の方法で現実的な対応を検討することが必要だと思われる。
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金融研究部   准主任研究員

渡邊 布味子 (わたなべ ふみこ)

研究・専門分野
不動産市場、不動産投資

(2022年08月05日「基礎研マンスリー」)

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【外国人観光客のマスク着用には明確なルールが必要-受入れ側、観光客双方にわかりやすく、より現実的な対応を】【シンクタンク】ニッセイ基礎研究所は、保険・年金・社会保障、経済・金融・不動産、暮らし・高齢社会、経営・ビジネスなどの各専門領域の研究員を抱え、様々な情報提供を行っています。

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