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さくらレポート(2022年7月)~9地域中7地域で景気の総括判断引き上げも、先行きへの警戒感は強い

経済研究部 安田 拓斗
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1.景気の総括判断は、全9地域中、7地域で引き上げ、2地域で据え置き
北海道、東北、北陸、近畿、中国、四国、九州・沖縄では景気の総括判断が引き上げられた。中国のロックダウンで供給制約がみられるものの、全体的に持ち直しの基調となっている。関東甲信越では、総括判断が横ばいとされたが、「基調としては持ち直している」と、持ち直しの基調は維持されている。一方、東海地方は「持ち直しの動きが一服している」と、弱い動きになっている。
需要項目別にみてみると、多くの地域で設備投資、個人消費において持ち直しの動きとなっている。3月21日にまん延防止等重点措置が解除されたことを受け、消費が回復していることが分かる。
2.業況判断は改善するも、先行きへの警戒感は引き続き強い
前回調査からの改善幅をみると、九州・沖縄が+10ポイントと大きく、次いで北海道が+9ポイント、四国が+7ポイントとなっている。北陸と関東甲信越は+3ポイント、東北は+2ポイント、東海は+1ポイントと小幅な改善にとどまった。一方で、近畿と中国は横ばいとなった。前回調査では全地域で悪化となった景況感だが、今回調査では、全体的に改善に向かっていると言える。
3.製造業の業況判断は3地域で改善も、地域ごとに大きなばらつき
業種別には、前回調査では多くの地域で悪化した食料品が、今回調査では全地域で改善している。一方、紙・パルプは多くの地域で悪化したほか、石油・石炭製品についても悪化が見られた。

先行きについては、5地域で改善、4地域で悪化を見込んでいる。北陸は電気機械(+28ポイント)や木材・木製品(+25ポイント)が押し上げ要因となり、+7ポイントの改善を見込んでいる。一方、近畿は木材・木製品(▲13ポイント)や化学(▲13ポイント)が下押し圧力となり、全体では▲1ポイントの悪化が見込まれている。
業種別では、多くの地域で木材・木製品の悪化が見込まれるほか、化学や窯業・土石製品でも悪化を見込む地域が目立っている。
4.非製造業の業況判断は、対面型サービス、宿泊・飲食サービスが大幅に改善
業種別では、まん延防止等重点措置が解除されたことを受け、全地域で宿泊・飲食サービスが前回調査から大きく改善した。前回調査では四国を除く8地域で業況判断DIの水準がマイナスだったが、今回調査では、全9地域でプラスとなっている。同じく、まん延防止等重点措置が解除された影響で、対個人サービスも、全地域で前回調査から改善し、業況判断DIの水準の押し上げ要因となった。
前回調査からの改善幅は、九州・沖縄が+13ポイントで最大となり、北海道が+9ポイントで続いた。九州・沖縄では、宿泊・飲食サービスが+27ポイント、対個人サービスが+23ポイントと大幅な改善をみせたほか、運輸・郵便においても+21ポイントと大きく改善した。
(お願い)本誌記載のデータは各種の情報源から入手・加工したものであり、その正確性と安全性を保証するものではありません。また、本誌は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。
(2022年07月12日「経済・金融フラッシュ」)
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