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- 景気ウォッチャー調査(22年6月)~景況感は改善を続けるも、先行きへの悲観的な見方が広がる
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1.現状判断DIは4か月ぶりに悪化、先行き判断DIも5か月ぶりに悪化
2.景気の現状判断DI:企業動向関連は50を割り込む

現状判断DIの内訳について、家計動向関連は53.4(前月差▲0.4ポイント、4か月ぶりの悪化、50超えは3か月連続)、企業動向関連は48.0(同▲2.4ポイント、4か月ぶりの悪化、2か月ぶりの50割れ)、雇用関連は59.6(同▲3.3ポイント、5か月ぶりの悪化)と、全てで悪化した。家計動向関連や雇用関連は50を超えており、改善が続いているものの、原材料価格の高騰にも関わらず、不十分な価格転嫁や、供給制約による納期遅れなどの理由から、企業動向関連の景況感は悪化に転じた。
<企業動向関連の景況感悪化に関する回答者の主なコメント>
・通信・IT業界において、コロナ禍の影響による景況感悪化は軽微であったが、半導体のひっ迫に伴って納期遅れが生じており、業績への影響が拡大している。景況感はやや悪くなっている(北海道・非製造業)
・物価が上がっているにもかかわらず、価格を据え置いて対応しても、前年売上のクリアが難しい。経費の増加分を吸収できていない(北関東・食料品製造業)
・取引先に対して値上げの交渉を行っているが、理解を得ることができ、まずは順調に進んでいる。極端な円安やウクライナ危機、気候要因による不作といった要因により、足元で物価は軒並み上がっている。長らく賃金が上がっていないところに、久しぶりの物価上昇となったことで、景気は良くない(近畿・窯業・土石製品製造業)
<サービスの好調さに言及した回答者の主なコメント>
・今月はプロスポーツの試合やイベント、コンサートが開催されており、そこに集まる県内外からの客が大勢いる。また、観光地にも多くの流入が認められる(東北・タクシー運転手)
・県民割を利用する宿泊客が増加している。また、コロナ禍で自粛していた年配者の昼間の宴会の件数が増加してきている(中国・観光型ホテル)
<住宅の景況感悪化に言及した回答者の主なコメント>
・新型コロナウイルス感染症から続いて、ロシアのウクライナ侵攻の影響で材料費が高騰しているために、設計費が上がってしまい、なかなか前に進まないというのが現状である。1つの仕事が2年間くらい掛かるので、非常に厳しい(南関東・設計事務所)
・不動産価格の高騰は続いており、検討客の動きは鈍くなっている。また、住宅の建設現場での労働力不足や資材の調達不足により、施工遅れの問題も顕在化している(近畿・その他住宅)
1 KH Coderによる対応分析を実施。
3.景気の先行き判断DI:先行きへの警戒感が強まる
<回答者の主なコメント>
・物価高が非常に厳しく、必要最低限の日用品しか売れなくなりそうである。必要性の低い商品は、全く売れない状況が続きそうである(東海・商店街)
・2~3か月先の8~9月は、新型コロナウイルスの感染状況が収まり、全国旅行支援が始まれば、これまで2年半以上新型コロナウイルス感染症の影響で外出していなかった反動で、客が出掛けるという希望もある。需要喚起策もあって外出需要は底固く、良くなると考える。もっとも、新型コロナウイルスの感染状況がこのままか、それほど増えないことを前提にしているため、予測し切れない余地もある。(東海・観光型ホテル)
・まん延防止等重点措置が解除され、人が街に戻ってきているが、新型コロナウイルスの新規感染者数が増えてきたことが気掛かりである。また、円安の影響で消費者物価もかなり上がっている。(近畿・不動産業)
(お願い)本誌記載のデータは各種の情報源から入手・加工したものであり、その正確性と安全性を保証するものではありません。また、本誌は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。
(2022年07月08日「経済・金融フラッシュ」)
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