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- 景気ウォッチャー調査(23年6月)~景況感の回復ペースが鈍化
1.現状判断DI、先行き判断DIともに前月から低下も50超を継続
6月調査では、新型コロナウイルス感染症の分類変更により、コロナ前と同様の方法で各種イベントが開催され、人流が増加していることや、インバウンド需要を含めた旅行需要の堅調さにより、景況感の回復が続いているものの、5類移行による需要増加が落ち着きつつあることが示された。回復ペースの鈍化の要因には物価上昇の影響もみられる。先行きについても、物価上昇への懸念に加えて、コロナ感染者数の増加への懸念がみられるものの、依然として楽観的な見方は継続している。
2.景気の現状判断DI:主に小売、飲食が低下も、引き続き50超を継続
- 新型コロナウイルス感染症の5類移行後のマーケット環境の改善や全国旅行支援の追い風により観光客層が動いている。ビジネス層に関しては、新型コロナウイルス感染症発生以前の動きまでは回復していない。(中国・都市型ホテル)
- 原材料単価の高騰に加え、為替の影響で輸入品価格が大幅に高騰しており、単価が大きく上昇している。来客数、販売数にも大きな影響が出ている。(北陸・スーパー)
- 景気が上向いているというのとは違うような気がする。コロナ禍が明けて、行動が活発になっており、来客数が増え、売上もそこそこ伸びている。ただし、物価上昇等の影響でいつまで続くかは見当が付かない。(南関東・一般レストラン)
- 株価の上昇とインバウンド需要の拡大による活性化で、不動産価格の上昇期待が強くなっている。関西はマンション、戸建て住宅共に、高額物件への引き合いは一定レベルでみられる。ただし、低価格帯を中心にした実需物件の動きは鈍く、コロナ禍による反動とみられる影響が出ている。(近畿・その他住宅)
なお、企業動向関連の内訳は、製造業(前月差▲1.1ポイント低下の50.1、2か月ぶりの低下、2か月連続の50超え)、非製造業(前月差▲1.0ポイント低下の55.8、6か月ぶりの低下、5か月連続の50超え)ともに低下した。
3.景気の先行き判断DI:主に小売、飲食が低下も、引き続き50超を継続
- 国内観光客が順調に回復している。さらに、国際便について、前年からの東南アジア路線の復便に加えて、7月から中国便が復便する予定であることから、インバウンドの増加も期待できる。これらのことから、今後の景気は良くなる。ただ、更なる国際便就航に向けて空港業務の人材確保が課題となっている。(北海道・旅行代理店)
- 人の動きと経済活動は活発化している。観光業や飲食業の動きの回復が顕著であるが、物販消費にも今後は期待したい(中国・住宅販売会社)
- 身の回りで新型コロナウイルス感染症の第9波がじわじわと広がっている。夏のイベント本番の時期に影響が出そうである。(東海・コンビニ)
- 円安やエネルギー価格の高騰を受けた価格改定が複数回にわたるなか、これまでの値上げにはやむを得ないという理解があったが、今秋の価格交渉は難航している。これ以上値上げすれば売れないだろうという感覚を私たち売手も持つが、販売数量が減ってでも値上げをし、最低限の利益は確保していく方針である。販売量や販売先の減少は避けられず、将来の景気に悪影響を与えると予想する。(東海・その他飲食)
なお、企業動向関連の内訳では、製造業は、前月差▲1.0ポイント低下の52.7(2か月ぶりの低下、4か月連続の50超え)となり、非製造業は、前月差▲0.4ポイント低下の53.7(2か月連続の低下、4か月連続の50超え)となった。
(お願い)本誌記載のデータは各種の情報源から入手・加工したものであり、その正確性と安全性を保証するものではありません。また、本誌は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。
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山下 大輔
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(2023年07月10日「経済・金融フラッシュ」)
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