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生物多様性とは-生物多様性を巡る動向及び持続可能な開発目標(SDGs)との関係
金融研究部 企業年金調査室長 年金総合リサーチセンター・ジェロントロジー推進室・サステナビリティ投資推進室兼任 梅内 俊樹
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ESGの環境課題は多岐にわたるが、その一つに生物多様性の保全がある。人類は地球上の生物の一員として他の生物と共存しており、生物多様性によってもたらされる様々な恵みに支えられている。しかし、人間の経済活動の拡大によって、生物の生息環境の悪化や生態系の破壊が進み、生物種の絶滅が急速に進行しており、生態系サービスの根源をなす生物多様性を脅かす事態となっている。こうした中、生物多様性の損失を食い止め再生することの重要性が国際社会において認識されるようになっている。
生物多様性の課題対応で国際社会を主導する役割を担っているのが、生物多様性条約である。2010年に開催された第10回締約国会議では、世界目標としての「戦略計画2011-2020」が採択され、2020年までの短期目標として20の個別目標(愛知目標)が設定された。しかし満足いく結果は得られておらず、こうした結果を受けて現在、2030年に向けた短期目標「ポスト2020生物多様性枠組」の策定に向けた検討が進められている。注目点としては、「30by30」とネーミングされた2030年までに陸と海の30%以上を健全な生態系として効果的に保全しようとする目標が盛り込まれる方向で検討されていることがある。
国内でも国際目標「ポスト2020生物多様性枠組」の採択を見据えて「次期生物多様性国家戦略」の策定に向けた議論が進められている。国際目標に沿って「30by30」が行動目標として設定されている点が注目される。企業においても生物多様性の保全に資する取組が拡がりを見せており、一層の進展が期待される。
持続可能な開発目標(SDGs)のなかには生物多様性と方向性が一致する目標が少なくなく、特に、気候変動については生物多様性と同様、持続可能な社会のベースとなる重要な要素という共通点もある。このため、気候変動と生物多様性の損失という2つの世界課題については、一体的に取り組むことが効果的との認識が広がっている。生物多様性に対処することの必要性は高まりつつある。
■目次
1――生物多様性の課題
2――生物多様性条約
3――国内における主な取組
4――持続可能な開発目標(SDGs)と生物多様性
(2022年06月30日「基礎研レター」)
03-3512-1849
- 【職歴】
1988年 日本生命保険相互会社入社
1995年 ニッセイアセットマネジメント(旧ニッセイ投信)出向
2005年 一橋大学国際企業戦略研究科修了
2009年 ニッセイ基礎研究所
2011年 年金総合リサーチセンター 兼務
2013年7月より現職
2018年 ジェロントロジー推進室 兼務
2021年 ESG推進室 兼務
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