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持続的な発展に向けて-SDGsの先を見据えた継続的な取組が必要か?
金融研究部 企業年金調査室長 年金総合リサーチセンター・ジェロントロジー推進室・サステナビリティ投資推進室兼任 梅内 俊樹
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1――5つの「P」
2――SDGsとは
目標1「貧困をなくそう」、目標2「飢餓をゼロに」からも理解されるように、SDGsでは「誰一人取り残さない」という原則のもと、主には開発途上国の課題に焦点が当てられている。しかしながら、経済、社会、環境という三側面における課題がバランスよく組み込まれており、先進国においても取り組みが求められる目標も少なくない。途上国への様々な支援を含め、先進国には積極的な関与が求められている。
3――全世界におけるSDGsの達成状況
SDGトランスフォーメーションセンターによって公表された「Sustainable Development Report 2024」によれば、2030年までに世界的な達成が見込まれるターゲットは16%に過ぎず、残りの84%は進捗が停滞している、もしくは、後退しているそうだ。目標達成に向けた進捗状況は地域によって異なり、北欧諸国は目標達成に向けて世界をリード。BRICS諸国においてもここ数年で大きく進展している一方で、低所得国などでは停滞が見られる状況である。世界全体の進捗の遅れ、地域による格差の拡大には、新型コロナウイルス感染症の拡大などが大きく影響した点は否めないが、こうした状況を受けて、2030年の目標達成は危機的な状況にあるというのが現状だ。
4――日本の達成状況
大きな課題が残る目標とされているのは、目標5「ジェンダー平等を実現しよう」、目標12「つくる責任、つかう責任」、目標13「気候変動に具体的な対応を」、目標14「海の豊かさを守ろう」、目標15「陸の豊かさを守ろう」。OECDの2022年の報告書でも、ジェンダー平等を巡る課題目標5)、一般廃棄物の回収・リサイクル率の低さ(目標12)や、生物多様性の著しい損失(目標15)が指摘されており、更なる進展が求められている。
5――持続的な発展に向けて
その点、国内ではSDGs発効以降、企業や個人において心強い変化が見られている。帝国データバンクの2024年調査によれば、SDGsに積極的な企業が増加傾向にあり、その割合は50%を超える。アンケート対象に経営体力に乏しい中小企業が多数含まれることを勘案すれば、SDGsの浸透がうかがえる数値と言える。また、各種調査によれば、次代を担うZ世代は社会課題に関心を持ち、消費を通じて課題解決に貢献しようとする意識が高い。学校教育などを通じて幼少期からSDGsを学んだり、生活の中でSDGsを実践したりする機会が増えつつあることも含め、国内では長期的かつ持続的な取り組みが可能な素地は整いつつある。
将来世代により良い社会を引き継ぐためにも、経済、社会、環境という三側面における課題対応を継続する必要がある。政府主導のもとで、若者や企業の行動を促しながら、長きにわたって取り組みが推進されることが期待される。
(お願い)本誌記載のデータは各種の情報源から入手・加工したものであり、その正確性と安全性を保証するものではありません。また、本誌は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。
(2024年09月05日「研究員の眼」)
03-3512-1849
- 【職歴】
1988年 日本生命保険相互会社入社
1995年 ニッセイアセットマネジメント(旧ニッセイ投信)出向
2005年 一橋大学国際企業戦略研究科修了
2009年 ニッセイ基礎研究所
2011年 年金総合リサーチセンター 兼務
2013年7月より現職
2018年 ジェロントロジー推進室 兼務
2021年 ESG推進室 兼務
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