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- 2021年好調過ぎたツケを払う米国株式
2022年04月26日
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1――米長期金利の上昇を嫌気して急落
2――割高な米国株式
3――業績拡大では下支えできない可能性が高い
米国企業の業績は現時点では堅調であるが、予想PERが17倍を下回る水準に低下してしまうと、年末まで現在の株価水準を維持するのは難しいと思われる。株式リスク・プレミアムを3%として考えると、長期金利が3%とこれからほとんど上昇しなくてもS&P500種株価指数が現状の水準を維持するにはEPSが260ポイント程度必要となる【図表5】。来期2023年予想EPS:246ポイントであることを踏まえると、これから業績が5%以上上方修正されてないと株価は現在の水準を維持できない計算である。
しかし、実際のところ長期金利が年末までに3%で収まってくれる可能性は低い。長期金利が3.5%まで上昇すると、EPSが270ポイントと足元の予想から10%上方修正されても、今年3月8日に付けた今のところの年初来安値4,170ポイントを下値更新することになりそうである。さらに、長期金利が4%まで上昇すると年初来安値はおろか2020年末の水準3,756ポイント付近、もしくはそれ以上に下落し、2021年の上昇分が吹き飛ぶ可能性が高くなる。
以前から「米長期金利の上昇が緩やかならば、業績拡大によって株価横ばい、もしくは緩やかに上昇」とお伝えしてきたが、現在の状況を踏まえると、残念ながら緩やかな金利上昇では収まりそうにないため、株価は今後しばらく下落していくリスクが高いといえよう。
しかし、実際のところ長期金利が年末までに3%で収まってくれる可能性は低い。長期金利が3.5%まで上昇すると、EPSが270ポイントと足元の予想から10%上方修正されても、今年3月8日に付けた今のところの年初来安値4,170ポイントを下値更新することになりそうである。さらに、長期金利が4%まで上昇すると年初来安値はおろか2020年末の水準3,756ポイント付近、もしくはそれ以上に下落し、2021年の上昇分が吹き飛ぶ可能性が高くなる。
以前から「米長期金利の上昇が緩やかならば、業績拡大によって株価横ばい、もしくは緩やかに上昇」とお伝えしてきたが、現在の状況を踏まえると、残念ながら緩やかな金利上昇では収まりそうにないため、株価は今後しばらく下落していくリスクが高いといえよう。
4――最後に
2022年に入ってから、米国で金融引き締めを2021年から行うべきだったという声が出ている。加えて、バイデン政権の財政政策も結果的に景気を過熱させたという指摘がされている。つまり、米国株式は2021年に好調過ぎたツケを2022年に払っているとみることができる。そのため、2022年の株価下落が2021年の上げ幅程度で収まればよいくらい割り切って考える必要があるだろう。長期投資のスタンスの方はそのように考えて特段問題ないと思われるが、逆にそのように割り切ることができない方は米国株式を一旦売却して、保有量を減らすことを検討しても良いタイミングなのではないだろうか。
(ご注意)当資料のデータは信頼ある情報源から入手、加工したものですが、その正確性と完全性を保証するものではありません。当資料の内容について、将来見解を変更することもあります。当資料は情報提供が目的であり、投資信託の勧誘するものではありません。
(2022年04月26日「基礎研レター」)

03-3512-1785
経歴
- 【職歴】
2008年 大和総研入社
2009年 大和証券キャピタル・マーケッツ(現大和証券)
2012年 イボットソン・アソシエイツ・ジャパン
2014年 ニッセイ基礎研究所 金融研究部
2022年7月より現職
【加入団体等】
・日本証券アナリスト協会検定会員
・投資信託協会「すべての人に世界の成長を届ける研究会」 客員研究員(2020・2021年度)
前山 裕亮のレポート
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