2022年01月11日

ユーロ圏消費者物価(21年12月)-予想に反してピークアウトせず

経済研究部 准主任研究員   高山 武士

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1.結果の概要:統計データ公表以来の最高値を更新

1月7日、欧州委員会統計局(Eurostat)は11月のユーロ圏のHICP(Harmonized Indices of Consumer Prices:EU基準の消費者物価指数)速報値を公表し、結果は以下の通りとなった。
 

【総合指数】
前年同月比は+5.0%、市場予想1(+4.8%)を上回り、前月(+4.9%)から加速(図表1)
前月比は+0.4%、予想(+0.3%)を上回り、前月(+0.4%)からは横ばいだった

【総合指数からエネルギーと飲食料を除いた指数2
前年同月比は+2.6%、予想(+2.5%)を上回り、前月(+2.6%)からは横ばいだった(図表2)
前月比は+0.4%、前月(+0.0%)から加速した

(図表1)ユーロ圏のHICP上昇率/(図表2)ユーロ圏のHICP上昇率
 
1 bloomberg集計の中央値。以下の予想値も同様。
2 日本の消費者物価指数のコアコアCPI、米国の消費者物価指数のコアCPIに相当するもの。ただし、ユーロ圏の指数はアルコール飲料も除いており、日本のコアコアCPIや米国のコアCPIとは若干定義が異なる。

2.結果の詳細:予想に反してピークアウトせず、飲食料が加速

12月のHICP上昇率(前年同月比)は全体で5.0%となり、前月の4.9%を上回り最も高い伸び率の記録を更新した。「コア部分(=エネルギーと飲食料を除く総合)」は2.6%と前月から横ばいとなり、総合指数、コア指数ともに11月から減速するとした市場予測を上回った。以下で見るようにエネルギー価格の伸び率は減速したが、飲食料(アルコール含む)の伸び率が加速している。

以下、詳細を「コア部分」「エネルギー」「飲食料(アルコール含む)」の3つに分けて見ていく。

まず、コア部分の「エネルギーと飲食料を除く総合」の内訳を見ると、「エネルギーを除く財(飲食料も除く)」は10月2.0%→11月2.4%→12月2.9%となり、12月は3%近い伸び率となった。一方、「サービス」(エネルギーを除く)は10月2.1%→11月2.7%→12月2.4%とやや減速した。なお、11月までの動向となるが、コロナ禍の影響を受けた業種の代表である外食・宿泊の伸び率は9月2.6%→10月2.9%→11月3.3%と上昇が続いているほか、娯楽業は9月1.1%→10月1.6%→11月4.0%と11月に急加速した(いずれも12月は速報時点では未公表)。

コア以外の部分では「エネルギー」が12月は前年同月比で26.0%となり、11月(27.5%)からやや減速した。また前月比も0.5%と11月(2.9%)から減速、10月(5.6%)をピークに急速に鈍化している。ただし、コロナ禍の影響を除いた2年前比では10月10.0%→11月13.3%→12月17.6%と加速傾向にある。なお、前年同期比寄与度は2.43%ポイント程度と見られ、総合指数の伸び率のおよそ半分がエネルギー価格の伸びだが、過半は占めなかったと思われる(前掲図表1・2)。

「飲食料(アルコール含む)」は、前年同月比で3.2%(11月2.2%)となった(図表3)。飲食料のうち加工食品の伸び率は2.8%(11月2.3%)、未加工食品は4.6%(11月1.9%)となり、12月は特に未加工食品の伸び率が加速した。
(図表3)ユーロ圏の飲食料価格の上昇率と内訳/(図表4)ユーロ圏のコアHICP上昇率
なお、12月まではドイツでのVATが引き下げ終了など、税率変更によるベース効果が0.5%ポイント程度あるが、11月以降はエネルギーや税率変更の影響も除いても、2%を超える状況が続いていると見られる(図表4)。
(図表5)ユーロ圏HICP上昇率(前年同月比)/(図表6)ユーロ圏HICP上昇率(前月比)
国別のHICP上昇率では、12月は前年同月比で19か国中14か国が11月から加速する一方、ドイツなど5か国は減速した(図表5)。前月比では14か国がプラスの伸び率となった(図表6)。
 
 

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経済研究部   准主任研究員

高山 武士 (たかやま たけし)

研究・専門分野
欧州経済、世界経済

(2022年01月11日「経済・金融フラッシュ」)

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