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コロナ禍で拡大した非金融法人による余資運用-民間非金融法人企業の余資運用に関する分析

金融研究部 金融調査室長・年金総合リサーチセンター兼任 福本 勇樹
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- コロナ禍において民間非金融法人企業の資金余剰が強まっており、現預金や有価証券投資といった金融資産の増加幅は(株式等を除く)金融負債の増加幅よりも大きくなっている。
- 法人企業が本業収益以外の目的のため現預金や有価証券での運用(余資運用)を拡大する背景として、「資金管理による追加収益の獲得」「リスクヘッジやリスクバッファの確保」「積極的な余資運用による本業の収益のカバー」「企業価値向上や収益性の改善に対する社会的な要請」「エージェンシー・コストの存在」「金融機関サイドの事情」などが考えられる。
- 統計モデルを活用してコロナ禍において民間非金融法人企業が余資運用を拡大した背景について分析を行ったところ、「現預金残高(外貨預金を除く)の増加」、「投資信託受益証券残高の増加」、「対外直接投資残高の増加」、「民間金融機関からの借入残高の増加」、「公的金融機関からの借入残高の増加」、「株式等による資金調達額の増加」、「米ドル高・円安」がその要因として挙げられる。
- コロナ禍ではゼロゼロ(実質無利子・無担保)融資などの資金調達に関する支援策が導入されたが、余資運用の原資となるのは借入や有価証券の発行といった外部からの資金調達ではなく、自己資金からの資金調達によるものである可能性が高い。
- 外部からの資金調達(借入、有価証券の発行)や預金の受け入れのみならず、法人企業の資金余剰が今後も強まっていくと予想される中で、金融機関が法人企業に対して余資運用やそれに伴うリスク管理も含めた与信・受信両面での幅広いソリューション提供を行っていくことに対する社会的な期待もより一層高まっていくことが予想される。
- 財務状況などを正確に理解する目的で、民間非金融法人企業による余資運用に関する情報について開示を強化していくことも検討していく必要性が今後出てくるかもしれない。
■目次
1――コロナ禍で拡大した非金融法人企業の余資運用
2――非金融法人企業はなぜ余資運用を行うのか
1|資金管理による追加収益の獲得
2|リスクヘッジやリスクバッファの確保
3|積極的な余資運用による本業の収益のカバー
4|企業価値向上や収益性の改善に対する社会的な要請
5|エージェンシー・コストの存在
6|金融機関サイドの事情
3――コロナ禍において民間非金融法人企業の余資運用が拡大した背景
1|現預金残高(外貨預金を除く)の増加
2|投資信託受益証券残高の増加
3|対外直接投資残高の増加
4|民間金融機関や公的金融機関からの借入残高の増加
5|株式等による資金調達残高の増加
6|余資運用に有利な市場環境
4――まとめ
5――付録:本稿の統計モデルに関する分析結果の概要
(2022年01月11日「基礎研レポート」)

03-3512-1848
- 【職歴】
2005年4月 住友信託銀行株式会社(現 三井住友信託銀行株式会社)入社
2014年9月 株式会社ニッセイ基礎研究所 入社
2021年7月より現職
【加入団体等】
・日本証券アナリスト協会検定会員
・経済産業省「キャッシュレスの普及加速に向けた基盤強化事業」における検討会委員(2022年)
・経済産業省 割賦販売小委員会委員(産業構造審議会臨時委員)(2023年)
【著書】
成城大学経済研究所 研究報告No.88
『日本のキャッシュレス化の進展状況と金融リテラシーの影響』
著者:ニッセイ基礎研究所 福本勇樹
出版社:成城大学経済研究所
発行年月:2020年02月
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