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ふるさと納税6割返礼品の効果-2020年度の寄付額増額は一過性のものか?
金融研究部 主任研究員・年金総合リサーチセンター・ジェロントロジー推進室・ESG推進室兼任 高岡 和佳子
では、なぜ2020年度は、ふるさと納税受け入れ総額が対前年度比1.38倍(6,725億円÷4,875億円)も増加したのだろうか。2020年度は、新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、在庫の滞留等が生じている国産農林水産物について、農林漁業団体、品目別団体等が行う販売促進の取り組みを支援する「国産農林水産物等販売促進緊急対策(補助事業)」が行われた。この補助をふるさと納税の返礼品制度に活用する自治体もあり、寄付額の6割に相当する返礼品(以下、6割返礼品)が話題になった。2020年度の急増の原動力は6割返礼品の出現であり、2020年度のふるさと納税の急増は一過性のものに思えるかもしれない。しかし、6割返礼品の出現は直接的な原動力ではなく、2021年度の寄付額が2019年度水準に減る可能性は低いと考えている。本稿では、6割返礼品の効果を検証し、ふるさと納税受け入れ総額増加の直接的な原動力かどうかを確認したい。
6割返礼品の規模は小さくはない
6割返礼品の有無で、対前年度寄付受け入れ額増加額は異なるが
確かに、6割返礼品を利用した自治体の2019年度から2020年度の寄付増加額は平均4億円で、それ以外の自治体の平均0.9億と比べて明らかに大きい(図表2)。しかし、2019年度の寄付額も、6割返礼品を利用した自治体の方がそれ以外の自治体より大きく、2019年寄付額に対する増加率の差はほぼない。従って、ふるさと納税額が元々大きい自治体が単に6割返礼品を積極的に活用した結果に過ぎないように見える。ふるさと納税の「牛肉や海産物など魅力的な返礼品に注目が集まる」傾向と、「国産農林水産物等販売促進緊急対策(補助事業)」の対象を併せて考えると、元々ふるさと納税先として知名度、人気の高かった自治体ほど6割返礼品を活用する傾向は当然と言える。
2 実施事業者一覧の内、事業内容がふるさと納税である事業者数124と水準が一致する。なお、同一自治体で、複数の事業者が実施している例や、複数の自治体にまたがって事業営む事業者もある。
3 国産農林水産物等販売促進緊急対策事業に代えて、国産農林水産物等販路多様化緊急対策事業とふるさと納税を組み合わせた取り組みが行われている。
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03-3512-1851
(2021年08月10日「研究員の眼」)
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