- シンクタンクならニッセイ基礎研究所 >
- 経済 >
- 財政・税制 >
- 3割上限ルールの影響-結局、返礼品割合の高い自治体が選ばれる
3割上限ルールの影響-結局、返礼品割合の高い自治体が選ばれる
金融研究部 主任研究員・年金総合リサーチセンター・ジェロントロジー推進室・サステナビリティ投資推進室兼任 高岡 和佳子
このレポートの関連カテゴリ
文字サイズ
- 小
- 中
- 大
返礼品割合が減った自治体2割強に対して、返礼品割合が増えた自治体は3割強
ふるさと納税に係る総費用の割合は増えている
高い返礼品割合が問題視される理由は大きく2つある。1つ目は、趣旨から逸脱したふるさと納税制度の利用が進むことであり、2つ目が、返礼品を調達する為の費用がかさみ、実質的な財源が減少することである。返礼品の調達費用だけが、実質的な財源減少をもたらすわけではない。返礼品の送付に係る費用や、ふるさと納税ポータルサイトの利用料等もある。特に、ふるさと納税ポータルサイトの利用料は寄附金額11%~12%に及び、決して小額ではない。一括してポータルサイト運営会社に委託していることを理由に、返礼品調達に係る費用をそれ以外の費用として報告する自治体もあり、名目上の返礼品割合だけに着目するのは適切ではない。そこで、寄附金受入金額に占めるふるさと納税に係る全ての費用の割合(総費用割合)についても、対前年度変化を確認した。その結果、総費用割合を減らした自治体の占率は、返礼品割合を減らした自治体の占率よりも更に低い21.3%であった。また、総費用割合を増やした自治体の占率は、返礼品割合を増やした自治体の占率よりも高く46.2%に及ぶ。
返礼品割合の高い自治体が納税者に選ばれている
3割上限ルールを守らない自治体の問題か、それとも返礼割合の高い自治体に寄附する納税者の問題か。答えはどちらでもなく、そのような行動を誘発する制度の問題ではないだろうか。
(お願い)本誌記載のデータは各種の情報源から入手・加工したものであり、その正確性と安全性を保証するものではありません。また、本誌は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。
(2018年07月09日「研究員の眼」)
このレポートの関連カテゴリ
03-3512-1851
- 【職歴】
1999年 日本生命保険相互会社入社
2006年 ニッセイ基礎研究所へ
2017年4月より現職
【加入団体等】
・日本証券アナリスト協会検定会員
高岡 和佳子のレポート
| 日付 | タイトル | 執筆者 | 媒体 |
|---|---|---|---|
| 2025/10/20 | ブルーファイナンスの課題-気候変動より低い関心が普及を阻む | 高岡 和佳子 | 研究員の眼 |
| 2025/07/03 | 国内企業年金が好むオルタナティブ投資 | 高岡 和佳子 | ニッセイ年金ストラテジー |
| 2025/06/30 | 食品ロス削減情報の比較可能性-何のための情報開示か? | 高岡 和佳子 | 基礎研レター |
| 2025/04/30 | ふるさと納税のピットフォール-発生原因と望まれる改良 | 高岡 和佳子 | 基礎研レポート |
新着記事
-
2025年10月28日
今週のレポート・コラムまとめ【10/21-10/27発行分】 -
2025年10月27日
秋の夜長に市民と経済の主食を考える-農業と電力はこれからも日本の食欲を満たせるのか -
2025年10月27日
大学卒女性の働き方別生涯賃金の推計(令和6年調査より)-正社員で2人出産・育休・時短で2億円超 -
2025年10月27日
なぜ味噌汁は動くのか -
2025年10月24日
米連邦政府閉鎖と代替指標の動向-代替指標は労働市場減速とインフレ継続を示唆、FRBは政府統計を欠く中で難しい判断を迫られる
レポート紹介
-
研究領域
-
経済
-
金融・為替
-
資産運用・資産形成
-
年金
-
社会保障制度
-
保険
-
不動産
-
経営・ビジネス
-
暮らし
-
ジェロントロジー(高齢社会総合研究)
-
医療・介護・健康・ヘルスケア
-
政策提言
-
-
注目テーマ・キーワード
-
統計・指標・重要イベント
-
媒体
- アクセスランキング
お知らせ
-
2025年07月01日
News Release
-
2025年06月06日
News Release
-
2025年04月02日
News Release
【3割上限ルールの影響-結局、返礼品割合の高い自治体が選ばれる】【シンクタンク】ニッセイ基礎研究所は、保険・年金・社会保障、経済・金融・不動産、暮らし・高齢社会、経営・ビジネスなどの各専門領域の研究員を抱え、様々な情報提供を行っています。
3割上限ルールの影響-結局、返礼品割合の高い自治体が選ばれるのレポート Topへ













