2021年08月02日

ユーロ圏失業率(2021年6月)-失業率は7.7%、雇用環境の改善が続く

経済研究部 主任研究員 高山 武士

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1.結果の概要:失業率は7.7%まで改善

7月30日、欧州委員会統計局(Eurostat)はユーロ圏の失業率を公表し、結果は以下の通りとなった。
 

【ユーロ圏19か国失業率(2021年6月、季節調整値)】
失業率は7.7%、市場予想1(7.9%)より低く、前月(8.0%)からも改善した(図表1)
失業者は1251.7万人となり、前月(1294.0万人)から42.3万人減少した

(図表1)失業率と国別失業者数/(図表2)若年失業率と国別若年失業者数
 
1 bloomberg集計の中央値。以下の予想値も同様。

2.結果の詳細:雇用環境は改善が続く

ユーロ圏の6月の失業率は7.7%と前月から低下した。前月までの改定値は5月が7.9%から8.0%と悪化方向にわずかに修正されたのみだった。失業者数は42.3万人減となり、6月に続いて2か月連続で10万人台の減少となった(図表3)。

6月の若年失業率は17.3%と5月(17.3%)から改善した(図表2)。前月までの改定値は4月(18.4→18.6%)と5月(17.5→17.9%)でそれぞれ悪化方向への改定となった。失業率・若年失業率ともに改定値がやや悪化方向に修正されたものの、足もとの数値はコロナ禍のピークと比較して低下が進んでいる(図表4)。また失業者数を時系列で追うと、昨年の7・8月および今年の5・6月に大きく減少しており、行動制限が緩和され経済活動が回復する時期に大きく改善していることが分かる(図表3)。
(図表3)ユーロ圏(19か国)の失業者数変化/(図表4)ユーロ圏(19か国)の失業率
国別の6月のデータを見ると、19か国中悪化が1か国、改善が15か国、横ばいが3か国だった。また、若年失業率では悪化が3か国、改善が13か国、横ばいが3か国となった。失業率も若年失業率も多くの国で改善している(図表5・6)。
(図表5)ユーロ圏の失業率(国別)/(図表6)ユーロ圏の若年失業率(国別)
最後に詳細な月次データを公表しているイタリアとポルトガルについて確認すると、6月はいずれの国でも就業者数の増加、失業者数の減少、非労働力人口の減少となった(図表7・8)。いずれの国でも非労働力人口の減少の傾向が継続しており、職探しを諦めた人の労働市場への参加が進んでいると見られる。特に、ポルトガルは労働参加率も足もとで急回復しており、失業率や労働参加率の数値はコロナ禍前の水準を回復した(ただし、ポルトガルでも若年失業率がコロナ禍前と比較して高水準にあるなど、雇用者の構成は変化している)。
(図表7)イタリアの失業者・非労働力人口・労働参加率/(図表8)ポルトガルの失業者・非労働力人口・労働参加率
 
 

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経済研究部   主任研究員

高山 武士 (たかやま たけし)

研究・専門分野
欧州経済、世界経済

経歴
  • 【職歴】
     2002年 東京工業大学入学(理学部)
     2006年 日本生命保険相互会社入社(資金証券部)
     2009年 日本経済研究センターへ派遣
     2010年 米国カンファレンスボードへ派遣
     2011年 ニッセイ基礎研究所(アジア・新興国経済担当)
     2014年 同、米国経済担当
     2014年 日本生命保険相互会社(証券管理部)
     2020年 ニッセイ基礎研究所
     2023年より現職

    【加入団体等】
     ・日本証券アナリスト協会 検定会員

(2021年08月02日「経済・金融フラッシュ」)

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