2021年07月21日

ワクチンパスポートの国内利用に向けて-ワクチンパスポートの国内利用には総じて肯定的であるものの、広く受容されるためには優遇措置のバランスが肝要

生活研究部 主任研究員   井上 智紀

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■要旨

新型コロナウイルスワクチンの一般接種が進む中、この26日より「新型コロナウイルス感染症 予防接種証明書」の申請受付が開始されることとなっている。当面は海外渡航時のみに利用を限定することとされている一方で、このような接種済みであることを示す証明書(以下、ワクチンパスポート)の国内利用の可否や利用方法についての議論も進められている。 消費者側では国内においてワクチンパスポートを利用することについてはどのように考えているのについて、弊社が実施した「第5回 新型コロナによる暮らしの変化に関する調査」の個票データを用い、ワクチンパスポートの国内利用の是非および利用方法別の受容度合いについて尋ねたところ、ワクチンパスポートの国内利用については、活用対象について慎重な検討を求めつつも、総じて賛同する声が多く、7種類をあげて尋ねた利用方法別の利用意向では、いずれの利用方法についても利用積極層が利用消極・反対層を上回る中、介護施設や医療機関での面会制限の緩和のほか、飲食代金の割引きやポイントの割り増しなどの優待措置では概ね前向きに捉えられる一方、パスポート保有者に限定したイベントやキャンペーンの実施については否定的な見方が比較的多くなっていた。

こうした結果は、ワクチン接種そのものや副反応に対する考え方、感染拡大の懸念が残る中、ワクチンパスポートを利用することで得られる効用の捉え方などが影響したものと思われることから、ワクチンの安全性や効果、感染のリスクとワクチンの副反応についての情報提供など、ワクチン接種を促進するためのリスクコミュニケーションを図ることで、間接的ではあるもののワクチンパスポートの受容性も高まることが期待できよう。また、利用方法について少額の割引や割増ポイントの付与などの優遇措置に比べパスポート保有者に限定したイベント、キャンペーンが否定的にみられていたことは、接種の環境整備がまだ十分ではなく、現状では希望したからといってもすぐに接種できる状況にはないことや、接種そのものが任意とされる中では、多少の優遇を受けることは受容できるものの、パスポート保有者であることを条件とするような過度に優遇されているととられかねない方法までは望まれておらず、広く受容されるためにはこうした優遇措置のバランスが肝要であることを意味している。

■目次

1――はじめに
2――想定されるワクチンパスポートの国内利用の方法
3――ワクチンパスポートの国内利用に対する消費者意識
  1|国内利用についての考え
  2|利用方法別の利用意向
4――ワクチンパスポートの国内利用の実現に向けて
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生活研究部   主任研究員

井上 智紀 (いのうえ ともき)

研究・専門分野
消費者行動、金融マーケティング、ダイレクトマーケティング、少子高齢社会、社会保障

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