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- キャッシュレス決済利用者の特徴-新型コロナ禍を奇貨として利用は拡大していくのか
では、様々なキャッシュレス決済の手段があるなかで、消費者はどのような手段を用いているのだろうか。また、消費者の属性や意識により利用状況に差異はあるのだろうか。本稿では、日経リサーチ社が2019年10月に実施した「金融総合定点調査 金融RADAR2019(以下、金融RADAR)1」の個票データを用い、キャッシュレス決済の利用状況について概観した結果を示す。
1 調査対象は首都圏40km圏の20~74歳男女個人。有効回収数:2,808サンプル
利用されているキャッシュレス決済
一方、暮らし向きの程度別にみると、これらの決済手段の利用者は“余裕あり”で95%と“余裕なし”(90%)に比べ高く、特にクレジットカードで10pt差と両者の差が大きくなっている。消費意識として“消費型”か“貯蓄型”かをたずねた結果別にみても、利用率は“消費型”で93%と“貯蓄型”(89%)に比べ僅かながら高く、特にクレジットカードで差が大きい。一方、クレジットカードを除くキャッシュレス決済の利用率では“消費型”“貯蓄型”ともに75%程度と差はみられない。
これら上位5ブランドについて性別にみると、男性で「Suica」が46%と女性(38%)に比べ高く、女性で「nanaco」が36%と男性(26%)よりも高くなっている。年代別にみると、「Suica」は30代(49%)で、「PASMO」は20代(39%)で、それぞれ最も高くなっているほか、「nanaco」は40~50代で3割台、「PayPay」は30~50代で2割台と、やや幅広い層に利用が拡がっている様がみてとれる。
キャッシュレス決済の利用額
暮らし向き別にみると、 “余裕あり”では『1万円以上』(42%)が4割を占めて“余裕なし”(36%)に比べ高く、平均では“余裕あり”が14,900円と“余裕なし”(12,700円)を2千円以上上回っている。一方、消費意識別では、『1万円以上』は“貯蓄型”が43%と“消費型”(36%)より高く、平均では“貯蓄型”が15,800円と“消費型”(12,700円)を3千円以上上回って高くなっている。
日本銀行の通貨流通高統計によれば、キャッシュレス決済拡大の影響が最も大きく現れる小額貨幣の流通高は、3月末までにかけても概ね減少傾向が続いていることから、足元ではキャッシュレス決済の利用はさらに拡大しているものと思われる。外出自粛に伴う通信販売の利用拡大や、決済時の現金を介した感染を避けるなど、新型コロナウィルス禍がキャッシュレス決済利用拡大の一端にあるとすれば皮肉としかいいようがないが、本稿の結果が示すようにキャッシュレス決済が性別や世代を問わず利用されるようになっている現状を踏まえれば、キャッシュレス決済は利用者、利用額ともに更に増えていくのではないだろうか。
(2020年05月07日「研究員の眼」)
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