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- インターネット消費はスマホ決済が拡大!-伸びている分野と伸びない分野は?
コラム
2019年06月17日
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一方、経済産業省の調査2によれば、2017年の分野別にみたBtoC ECの市場規模は物販系が8.6兆円とBtoC EC全体(16.5兆円)の過半(52.1%)を占め、サービス系(6.0兆円、35.4%)、デジタル系(1.9兆円、11.7%)を大きく上回る結果となっているものの、前年からの伸び率ではサービス系が11.3%と、デジタル系(9.5%)、物販系(7.5%)を超えて高くなっている。インターネット経由での通信販売市場の拡大はサービス系を中心とした利用の拡がりによるものであるといえよう。
このような市場全体の動向に対し、家計におけるインターネット経由の消費はどのように変化しているのだろうか。
このような市場全体の動向に対し、家計におけるインターネット経由の消費はどのように変化しているのだろうか。


こうした「出前」急伸の背景には、デリバリーサービスに関するスマートフォンアプリの利用拡大があるものと思われる。実際に、SimilarWeb社のサービスであるSimilarWeb Proから代表的なデリバリーサービスのスマートフォンアプリ2種について、直近1年間の推定ユニークユーザー数4の推移5をみると、先行してサービスを開始6している「出前館」では2018年3月の1万人前後から2019年には2万人弱まで、「Uber Eats」は同2千人程度から1万人以上まで、それぞれ利用者数を伸ばしている。
このように、インターネット経由の消費は世帯単位でみても伸びているものの、その推移は費目により差があることが示された。また、費目別支出の伸展度合いについては、ネット決済による旅行関係費や食料のうち出前、保健・医療のうち健康食品で大きくなっていた。なかでも2017年以降の伸びが著しい「出前」については、スマートフォンアプリを通じたサービス利用の拡大が背景にある様が窺える。家計におけるインターネット経由の消費は、こうしたスマートフォン経由のサービス拡充のほか、近年のQRコード決済サービスに代表される決済手段の多様化を背景として、さらに拡がることが予想される。今後の動向にも引き続き注視していく必要があるだろう。
1 井上(2018)「通販市場は10年間で約2倍に-背景にある世代を超えたインターネット通販の拡大」『研究員の眼』(2018年3月9日)
2 経済産業省「平成29年度 我が国におけるデータ駆動型社会に係る基盤整備(電子商取引に関する市場調査)報告書」
3 物価水準調整済み。以下同じ。
4 ユニークユーザー数とは、同一人物の複数回利用などの重複を排除した実利用者数を指す。ここでは、スマートフォンアプリの利用者数であることから、同一端末からの複数回利用の重複を排除したものである。
5 SimilarWeb ProおよびApp Store、Google Playの仕様上の制約から、数値の取得はAndroidアプリに限定されている
6 「出前館」は夢の街創造委員会株式会社が、「Uber Eats」はUber Technologies社が、それぞれ提供するインターネット経由の出前注文・宅配サービスである。なお両社のスマートフォンアプリの公開は「出前館」が2010年から、「Uber Eats」が2016年からと、スマートフォン経由のサービス提供開始時期はそれぞれ異なることから、両社の利用者数を単純に比較することはできない。
1 井上(2018)「通販市場は10年間で約2倍に-背景にある世代を超えたインターネット通販の拡大」『研究員の眼』(2018年3月9日)
2 経済産業省「平成29年度 我が国におけるデータ駆動型社会に係る基盤整備(電子商取引に関する市場調査)報告書」
3 物価水準調整済み。以下同じ。
4 ユニークユーザー数とは、同一人物の複数回利用などの重複を排除した実利用者数を指す。ここでは、スマートフォンアプリの利用者数であることから、同一端末からの複数回利用の重複を排除したものである。
5 SimilarWeb ProおよびApp Store、Google Playの仕様上の制約から、数値の取得はAndroidアプリに限定されている
6 「出前館」は夢の街創造委員会株式会社が、「Uber Eats」はUber Technologies社が、それぞれ提供するインターネット経由の出前注文・宅配サービスである。なお両社のスマートフォンアプリの公開は「出前館」が2010年から、「Uber Eats」が2016年からと、スマートフォン経由のサービス提供開始時期はそれぞれ異なることから、両社の利用者数を単純に比較することはできない。
(2019年06月17日「研究員の眼」)
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