- シンクタンクならニッセイ基礎研究所 >
- 経済 >
- 米国経済 >
- 党派性が反映される米国のコロナ感染状況~ワクチン接種に消極的な共和党の地盤州で感染が拡大、引き続き米景気回復のリスクに
党派性が反映される米国のコロナ感染状況~ワクチン接種に消極的な共和党の地盤州で感染が拡大、引き続き米景気回復のリスクに

経済研究部 主任研究員 窪谷 浩
文字サイズ
- 小
- 中
- 大

米国で人口に対するワクチン接種が完了した人数の割合(ワクチン接種完了率)は48%超に上るものの、足元で頭打ち傾向となっている。実際に1日のワクチン接種回数は春先に340万回超まで加速したものの、足元では40万回程度に留まっており減速が鮮明だ。米疾病対策センター(CDC)は、コロナの入院患者の97%はワクチン未接種としており、ワクチン未接種者を中心に感染が拡大していることに警鐘を鳴らしている。
一方、ワクチン接種完了率には支持する政党による党派性がみられる。前述の上位下位州を20年に行われた大統領選挙結果で分けると、上位10州では9州でトランプ氏が勝利した共和党の地盤州となっている一方、下位10州では8州ではバイデン氏が勝利した民主党の地盤州となっており、民主党の地盤州でワクチン接種が進捗する一方、共和党の地盤州ではワクチン接種の進捗が捗々しくない状況が示されている。

バイデン大統領はワクチン接種を積極的に推進しており、一部地域では接種者に高額の宝くじを配布するなどの施策を行ったものの、成果は限定的となっている。ワクチン接種に対する意識に党派性が強く反映されている状況を考えると、共和党支持者にワクチン接種を納得させることは至難の業だ。このため、デルタ株の感染拡大が懸念される中でも、ワクチン接種完了率が顕著に改善する可能性は低いだろう。
米国経済は全米規模で経済活動制限が緩和され経済正常化の過程にあるが、ワクチン接種が進捗せず、新規感染者数の増加が続けば、再び経済活動制限の厳格化に追い込まれかねず、景気回復に水が差される可能性も否定できない。引き続きコロナの感染動向は米景気回復のリスクとして燻ろう。
(お願い)本誌記載のデータは各種の情報源から入手・加工したものであり、その正確性と安全性を保証するものではありません。また、本誌は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。
(2021年07月19日「研究員の眼」)

03-3512-1824
- 【職歴】
1991年 日本生命保険相互会社入社
1999年 NLI International Inc.(米国)
2004年 ニッセイアセットマネジメント株式会社
2008年 公益財団法人 国際金融情報センター
2014年10月より現職
【加入団体等】
・日本証券アナリスト協会 検定会員
窪谷 浩のレポート
新着記事
-
2025年05月02日
金利がある世界での資本コスト -
2025年05月02日
保険型投資商品等の利回りは、良好だったが(~2023 欧州)-4年通算ではインフレ率より低い。(EIOPAの報告書の紹介) -
2025年05月02日
曲線にはどんな種類があって、どう社会に役立っているのか(その11)-螺旋と渦巻の実例- -
2025年05月02日
ネットでの誹謗中傷-ネット上における許されない発言とは? -
2025年05月02日
雇用関連統計25年3月-失業率、有効求人倍率ともに横ばい圏内の動きが続く
レポート紹介
-
研究領域
-
経済
-
金融・為替
-
資産運用・資産形成
-
年金
-
社会保障制度
-
保険
-
不動産
-
経営・ビジネス
-
暮らし
-
ジェロントロジー(高齢社会総合研究)
-
医療・介護・健康・ヘルスケア
-
政策提言
-
-
注目テーマ・キーワード
-
統計・指標・重要イベント
-
媒体
- アクセスランキング
お知らせ
-
2025年04月02日
News Release
-
2024年11月27日
News Release
-
2024年07月01日
News Release
【党派性が反映される米国のコロナ感染状況~ワクチン接種に消極的な共和党の地盤州で感染が拡大、引き続き米景気回復のリスクに】【シンクタンク】ニッセイ基礎研究所は、保険・年金・社会保障、経済・金融・不動産、暮らし・高齢社会、経営・ビジネスなどの各専門領域の研究員を抱え、様々な情報提供を行っています。
党派性が反映される米国のコロナ感染状況~ワクチン接種に消極的な共和党の地盤州で感染が拡大、引き続き米景気回復のリスクにのレポート Topへ