2021年04月26日

バイデン政権100日の評価-新型コロナと経済対策をまとめ、政権はロケットスタート。米国雇用計画が超党派で合意できるか

経済研究部 主任研究員 窪谷 浩

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■要旨
 
  1. バイデン大統領は5月1日に節目となる就任100日を迎える。バイデン政権は就任直後から多くの大統領令を発出し、前政権からの政策転換を積極的に進めてきた。
     
  2. また、最優先課題として位置付けた新型コロナ対策や追加経済対策では、新型コロナ対策でワクチン接種が順調に進捗しているほか、追加経済対策で3月に1.9兆ドル規模の対策をまとめ、個人消費を大幅に増加させるなど成果を挙げている。
     
  3. このような成果に対して世論調査はバイデン大統領の政権運営に対して近年の歴代大統領と比較しても高い支持を与えており、バイデン政権はロケットスタートに成功したと言えよう。
     
  4. 一方、バイデン政権は成長戦略として政策公約で掲げていた「より良い復興」の実現に政策の軸足を移しており、3月31日に第一弾として「米国雇用計画」を発表し、環境も含めたインフラ投資や介護支援などに今後8年間で2.3兆ドル規模の歳出拡大を目指す一方、法人税率の引上げなどで15年かけて財源を賄う方針を示した。
     
  5. さらに、医療保険制度回復や教育問題が盛り込まれた成長政策第2弾「米国家族計画」の発表が予定されており、当面は成長戦略の実現に注力するとみられる。
     
  6. 新型コロナ対策や追加経済対策では与党内の合意を得ることに成功したが、今後の政策課題では、野党共和党のみならず、与党民主党でも合意形成は容易でないとみられる。議会調整に長けたバイデン大統領の政権運営手腕が問われるだろう。
(図表1)大統領支持率(就任最初の4月)
■目次

1.はじめに
2.バイデン大統領就任100日の成果
  (政治任用スタッフの承認状況):トランプ政権を上回るペース
  (大統領令)就任初日からトランプ政権時代の政策転換を精力的に推進
  (新型コロナ対策):1月に国家戦略を策定、ワクチン接種は政策目標の2倍のペースで実施
  (経済対策):民主党単独で1.9兆ドル規模の追加経済対策を実現、個人消費主導で高成長へ
  (世論調査結果):新型コロナ、経済政策やバイデン大統領に対して高い支持
3.当面の政策課題等
  (米国雇用計画):8年間で2.8兆ドル規模の歳出拡大を目指す
  (今後の見通し):問われるバイデン大統領の政治手腕

(2021年04月26日「Weekly エコノミスト・レター」)

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経済研究部   主任研究員

窪谷 浩 (くぼたに ひろし)

研究・専門分野
米国経済

経歴
  • 【職歴】
     1991年 日本生命保険相互会社入社
     1999年 NLI International Inc.(米国)
     2004年 ニッセイアセットマネジメント株式会社
     2008年 公益財団法人 国際金融情報センター
     2014年10月より現職

    【加入団体等】
     ・日本証券アナリスト協会 検定会員

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