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2025年05月02日

雇用関連統計25年3月-失業率、有効求人倍率ともに横ばい圏内の動きが続く

経済研究部 経済調査部長 斎藤 太郎

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1.失業率は前月から0.1ポイント上昇の2.5%

完全失業率と就業者の推移 総務省が5月2日に公表した労働力調査によると、25年3月の完全失業率は前月から0.1ポイント上昇の2.5%(QUICK集計・事前予想:2.4%、当社予想は2.5%)となった。

労働力人口が前月から5万人の減少となる中、就業者が前月から8万人減少し、失業者は前月から5万人増加の173万人(いずれも季節調整値)となった。労働市場からの退出が増える中で失業者が増加しており、内容は悪い。
就業者数は前年差44万人増(2月:同40万人増)と32ヵ月連続で増加した。男女別には、男性が前年差18万人増と2ヵ月ぶりに増加、女性が前年差26万人増と37ヵ月連続で増加した。

産業別には、卸売・小売業が前年差0万人(2月:同16万人減)と横ばいにとどまり、宿泊・飲食サービス業(2月:前年差21万人増→3月:同8万人増)、医療・福祉(2月:前年差23万人増→同4万人増)の増加幅が前月から大きく縮小したが、製造業が前年差6万人増(2月:同12万人減)と6ヵ月ぶりに増加した。
産業別・就業者数の推移/雇用形態別雇用者数
雇用者数(役員を除く)は前年に比べ60万人増(2月:同40万人増)と37ヵ月連続で増加した。雇用形態別にみると、正規の職員・従業員数が前年差40万人増(2月:27万人増)と17ヵ連続で増加、非正規の職員・従業員数が前年差20万人増(2月:同13万人増)と3ヵ月連続で増加した。

2.有効求人倍率、新規求人倍率ともに低下

有効求人倍率の推移 厚生労働省が5月2日に公表した一般職業紹介状況によると、25年3月の有効求人倍率は前月から0.02ポイント上昇の1.26倍(QUICK集計・事前予想:1.25倍、当社予想も1.25倍)となった。有効求人数が前月比0.3%の増加となる一方、有効求職者数が同▲1.2%と4ヵ月連続で減少した。
産業別新規求人数 有効求人倍率の先行指標である新規求人倍率は前月から0.02ポイント上昇の2.32倍となった。新規求人数が前月比1.7%の増加となり、新規求職申込件数の増加幅(同0.9%)を上回った。

新規求人数(原数値)は前年比▲3.0%(2月:同▲5.9%)と5ヵ月連続で減少した。産業別には、情報通信業(2月:前年比▲4.3%→3月:同8.2%)が2ヵ月ぶり、宿泊・飲食サービス業(2月:前年比▲17.6%→3月:同3.3%)が3ヵ月ぶりに増加に転じたが、建設業(2月:前年比▲9.1%→3月:同▲2.4%)、製造業(2月:前年比▲6.5%→3月:同▲4.5%)、生活関連サービス・娯楽業(2月:前年比▲10.5%→3月:同▲6.9%)は減少が続いた。

25年3月は2月とは逆に失業率が悪化する一方、有効求人倍率が前月から改善したが、均してみれば両者ともに横ばい圏内の動きが続いている。先行きについては、米国の関税引き上げの影響で景気の不透明感が高まっており、労働市場にも悪影響が及ぶことが懸念される。

本資料記載のデータは各種の情報源から入手・加工したものであり、その正確性と完全性を保証するものではありません。
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(2025年05月02日「経済・金融フラッシュ」)

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経済研究部   経済調査部長

斎藤 太郎 (さいとう たろう)

研究・専門分野
日本経済、雇用

経歴
  • ・ 1992年:日本生命保険相互会社
    ・ 1996年:ニッセイ基礎研究所へ
    ・ 2019年8月より現職

    ・ 2010年 拓殖大学非常勤講師(日本経済論)
    ・ 2012年~ 神奈川大学非常勤講師(日本経済論)
    ・ 2018年~ 統計委員会専門委員

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